研究課題
定常電流中の力の釣り合いの理解の研究として、ベンゼンジチオール・グラフェンを対象にローレンツ力密度とテンション密度の釣り合いについての理論的研究を進めた。これまで取り入れられていない電場の効果を取り入れて、よりよい釣り合いが数値計算上で実現できた。独自開発したコードとOpenMXを用いているが、OpenMXの方では擬ポテンシャル法を用いているため、これによるずれが数値的誤差として見えてきているのでこの効果を補正する効果を取り入れて改善を目指す。具体的には、擬ポテンシャルとして処理されている電場の効果をローレンツ力密度とテンション密度の釣り合いの計算にうまく取り込む予定である。スピン偏極と電流の関係の理解の研究として、ベンゼンジチオール・グラフェン・グラフェンナノリボンを対象に定常電流中のスピン分極・電流分布・原子核の分布等と比較することにより、電流とスピン伝導の関係を研究した。特にスピンの渦度と電流の間の関係についての理論的予言を複数行った。そのうちの最も基本となる関係式はスピンの渦度と電流の間に線形関係が成立するというもので、この関係を先述の3つのモデルに対する数値計算から検証した。結果は全てのモデルの全ての計算においてこの関係式が成立し立証できたと考えている。この関係式はモデル全体における物理量としても成立するし、モデル内のどんな部分領域に対しても成立している。この線形関係の研究を進め、誘電率や電気伝導率のような物性量として確立を進める。またグラフェンナノリボン中に不純物を入れた場合についても研究を行い大きな成果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
研究の状況は計画申請書と大差なく進行している。
研究計画通りに順調に進められているので、今後も研究計画に基づいて進める。
学内の委員会のために国際会議の参加をキャンセルすることとなった。それにより使用予定に大きな変更が生じ、結果として残額が生じた。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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