研究課題
本研究では、化学溶液析出法(CBD法)によるZnOナノロッド(NRs)成長にイオンプレーティング法で作製された200nm厚Ga添加ZnO(GZO)薄膜をシード層として用いてきた。今年度は、材料設計の自由度向上およびシード層の違いがZnO NRsの特性に及ぼす影響を明らかにするために、これまで用いてきた200nm厚GZO薄膜に加えて50nm厚GZO薄膜、Sn添加In2O3(ITO)薄膜、F添加SnO2(FTO)薄膜をシード層に用いたZnO NRsの成長を行った。50nm厚GZO薄膜上では200nm厚GZO薄膜上と同様に垂直配向ZnO NRs群の成長が確認されたが、期待していたシード層結晶粒サイズの減少に伴うNRs平均幅の減少は確認されなかった。また背面電極としての機能を持たせるために導電性薄膜をシード層に用いているが、50nm厚GZO薄膜ではCBD成長中にNRs非堆積領域で導電性が失われることが明らかになった。GZO、ITO及びFTOの三種類のシード層上に成長したNRsの形状観察からは、シード層の粒径の増大に伴うNRs平均幅の増大およびシード層の配向性の低下に伴うNRsの垂直配向割合の低下が確認された。CBD法で作製したCuOとCu2O薄膜上へのZnO NRsの堆積によるpnヘテロ構造作製を行った。後者で垂直配向ZnO NRs群の成長が確認されたが、電流-電圧特性測定では整流性が確認できなかった。ZnO NRsにおけるキャリア生成・消滅機構の解明を目的に正孔輸送性高分子PEDOT:PSSとのショットキー接合による光検出素子を作製し、光電流測定を行った。光照射時と遮断時の光電流の応答速度が、ZnOナノロッドの平均幅だけでなく、励起光波長に依存性することが明らかになった。この結果は、ZnO NRsの表面状態がキャリアの生成・消滅に多大な影響を及ぼすことを示唆している。
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信学技報
巻: Vol. 119, No.35 ページ: 57-62
巻: Vol. 119, No. 303 ページ: 9-13
巻: Vol. 119, No. 303 ページ: 15-20