研究課題
本年度は,Au(コア)/Pd(シェル)型ナノ粒子を種々のサイズで合成し,In vitroにおける光熱変換治療能と細胞イメージング能を実証した.具体的には,(1)粒子径20 nm程度のAuナノ粒子をコアとし,Pdシェル膜厚をチューニングすることで,Pdのプラズモン共鳴波長を350 nmから1000 nmの範囲内で自在に制御することに成功した.(2)さらに,これらナノ粒子をHeLa細胞に適用し,第一の生体の窓に該当する808 nmレーザーを照射することによって,効率的に細胞が死滅することが確認された.レーザー照射によって約40%の光熱変換特性を示したことから,Pdのプラズモン励起に伴う熱生成によって死滅したことが確認された.(3)これらナノ粒子が適用されたHeLa細胞を暗視野検鏡下でハロゲン光源によって観察したところ,細胞内の1粒子レベルの散乱光が検出可能であった.すなわち,1粒子散乱イメージングによるHeLa細胞内のナノ粒子の動態をIn situで観察可能であることが実証された.また,ナノ粒子の観察技術の構築の過程で得た,種々の異方性金属・半導体ナノ粒子を用いて,以下の新規な光現象の観察に成功した.(1)異方性Agナノ粒子(Agナノプリズム)の新規合成手法を確立し,その形成機構を解明した.(2)これらナノ粒子に近接したりん光性ポルフィリン分子が,異常な発光特性(顕著な蛍光発光)を示すことを明らかにし,その機構を解明した.(3)これらナノ粒子とポルフィリン分子が近接することによってプラズモンカップリングが誘起され,可視域の広い波長に渡って強い吸収増強を示すことを明らかにした.(4)FeS2ナノ結晶の合成手法を確立し,これらが近赤外域で特異な光共鳴(Mie共鳴)を発現することを示し,さらに,単一粒子内で本来のバンドギャップ特性とMie共鳴との相乗効果を示すことを明らかにした.
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