本研究では、圧電体ZnOの単結晶自立ナノロッド配列構造について、単結晶自立ナノロッドがバルク単結晶よりも弾性限界歪が2桁高い「ナノ弾性」を有することを利用し、ナノロッドの面密度を高めることで、配列構造の同じ膜厚のZnO薄膜を超える圧電電荷出力を実現することを目標とした。 2017年度は下地電極を兼ねるAu薄膜/Si基板上のZnO単結晶自立ナノロッド配列のヘテロエピタキシャル成長技術、および、前駆体溶液への添加剤導入によるZnO単結晶自立ナノロッドのアスペクト比制御技術を開発した。 2018年度は、高面密度の自立ナノロッド配列に適切な粘性を有する有機フォトレジスト膜を塗布することで、これを埋め込む技術を開発した。この自立ナノロッド配列埋め込み構造は、圧電デバイス応用の観点から、①上部電極が形成可能になる、②ロッド軸直交方向の剪断応力に対して耐久性が上がり応力集中によるナノロッド根本での構造破壊を防げる、という利点がある。また、本埋め込み技術はZnO単結晶自立ナノロッド配列構造に限らず、他材料、多孔質材料なども埋め込み可能で汎用性があり、応用展開が期待できる。 2019年度は、有機フォトレジスト膜で埋め込んだ自立ナノロッド配列を更に機械研磨するプロセス技術を開発した。これより、①埋め込み後の自立ナノロッド配列上面を光学鏡面レベルで平滑化可能で、②ナノロッドと上部電極との良好な電気的接触が得られるようになった。これより、単結晶ナノロッド自立配列による圧電デバイスの作製技術を一通り開発できた。
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