昨年度中に見出した新規な表面二次元構造作製技術である、レーザー誘起表面凹凸作製法による基板上の表面凹凸構造の最適化やランダムレーザー発振の低しきい値化を中心に行った。今年度は、近赤外域でのランダムレーザーの実現を目指し、GaAs基板に本手法を適用した。新規に購入したグリーンパルスレーザー照射により、GaAs基板に作製した凹凸構造において波長870nm付近においてレーザー発振の誘起に成功した。さらに照射強度、照射時間を調整し、表面凹凸構造の最適化を行うことによって、GaN基板の表面凹凸ランダムレーザーと同様にしきい値を最小化することに成功した。 また、これとは別に、レーザー誘起水熱合成法を用いた発光デバイス作製に関連し、金属ナノ構造を熱源とした新規なプラズモンアシスト水熱合成法の開発にも成功した。これまでの方法では、金薄膜の直接光吸収に伴う発熱を利用した水熱合成を行なっており、金属の高い熱伝導率により熱が速やかに拡散するため、集光スポットよりも小さい発光構造の作製は困難であった。一方、本提案手法では、金ナノ構造のプラズモン共鳴を励起し、局在場の増強効果ではなく、ナノサイズの熱源として注目することにより、光の回折限界よりも小さな領域に選択的にZnOを水熱合成することが可能となる。数値解析による金ナノ構造のデザインとプラズモン励起用レーザーの照射強度や照射時間の最適化により、金ナノ構造の特定の位置にナノサイズのZnOを選択的に合成できることを示した。
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