研究課題/領域番号 |
17K05024
|
研究機関 | 茨城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
若松 孝 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 教授 (80220838)
|
研究分担者 |
尾形 慎 福島工業高等専門学校, 化学・バイオ工学科, 准教授 (10532666)
田中 大輔 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 講師 (20643729)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | タンパク質凝集体 / タンパク質結晶化 / エバネッセント光 / 光散乱 / マイクロ・ナノデバイス / 表面・界面物性 / ナノバイオ / 結晶成長 |
研究実績の概要 |
シリカ標準微粒子を用いて、前年度に構築したエバネッセント光励起下における前方小角散乱光の瞬時計測システムの性能試験を行った。開発装置は、試料溶液セルを水平に設置した状態でガラスプリズム/液滴の全反射条件下で液滴界面に全反射エバネッセント光を発生させ、液滴サンプルからの低角度における前方動的光散乱(F-DLS)及び前方静的光散乱(F-SLS)をリアルタイムで計測するものである。 シリカ標準粒子(NIST,サイズ0.5μm)を含む微小液滴に対して、全反射条件下でF-SLSの瞬時測定を行い測定データを解析した。F-SLSパターンは、既設の開発分析装置で計測したF-SLSパターンとは形状が異なっていた。コリメートレンズと光検出器の配置を微調整したところ、測定データに対して比較データによる補正が必要なことが分かった。これは、液滴形状(半球)による散乱光の拡散、及び散乱光検出器への光学系配置の相違によるものと考えられる。一方、全反射エバネッセント光励起下におけるF-DLSの測定では、シリカ微粒子のブラウン運動に伴う散乱強度の時間的揺らぎが観測され、F-DLSデータより得られた自己相関関数から、対象微粒子のサイズを評価した。その結果、当開発分析装置において全反射エバネッセント光励起下の散乱光測定では、F-SLSよりも、解析する上で特に補正を必要としない前方動的散乱光(F-DLS)の計測が適することが分かった。 また、全反射エバネッセント光散乱を用いて、ハンギングドロップ蒸気拡散法によるタンパク質の凝集・結晶化を分析するための小型溶液セルを作製した。溶液セル内に液滴サンプルを封止して、開発分析システムで液滴からの前方動的散乱光をリアルタイムで計測することができる。 なお、これまでに得られた研究成果を国内学会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
標準微粒子サンプルを使用して、開発したエバネッセント光励起下の前方小角散乱光の瞬時計測システムの性能試験を行い、概ね設計通りの基本的性能を確認した。しかしながら、当研究の主な目的である、リゾチーム等の結晶化モデルタンパク質を対象にしたハンギングドロップ蒸気拡散法におけるタンパク質凝集・結晶化の分析は、未だ予備実験の段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
リゾチーム等の結晶化モデルタンパク質を対象にしたハンギングドロップ蒸気拡散法におけるタンパク質凝集・結晶化の分析を本格的に実施する。エバネッセント光励起下における散乱光測定は、解析する上で特に補正を必要としない前方動的散乱光(F-DLS)の計測を行い、結晶化前のタンパク質凝集体のサイズや構造等の経時変化を分析する。得られた研究成果を学会や学術論文、及び研究展示会等で発表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
タンパク質原料の消費が予定よりも少なかったことで、溶液サンプル作製に必要な消耗品費が抑えられた。タンパク質原料等のサンプル作製に必要な物品の購入や実験補助に関わる謝金等に使用する。
|