研究課題/領域番号 |
17K05026
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鈴木 裕史 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (50236022)
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研究分担者 |
宮永 崇史 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (70209922)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | レアアースフリー / ゼオライト / Agクラスター / フォトルミネッセンス / XAFS |
研究実績の概要 |
レアアースを使用しない蛍光発光物質であるAg形ゼオライトについて研究を遂行した。 本年度はAg形X型ゼオライトにおける発光種である可能性が極めて高い種を突き止め、それをもとに発光機構モデルを構築した。前年度までに明らかにし、かつ実証した、「Ag形X型ゼオライトは315 nm付近にピークを持つ単一の発光バンドを示す」ことと「室温であっても真空排気することによりクラスターが形成される」という2点に基づき、【大気中-(真空排気)-真空中-(大気導入)-大気中】の連続する過程において同時時間分解フォトルミネッセンス&X線吸収微細構造オペランド測定を時間分解能1分で行った。昨年度までは、真空排気と大気導入過程におけるガスの出入りを阻害しないためにX線吸収微細構造測定を蛍光法により行っていたが、スペクトルの質を向上させるためにPTFEメンブレンフィルターをカバーとして採用することで透過法での測定を可能にした。その結果、X線吸収微細構造スペクトルには等吸収点が複数存在し、中間におけるスペクトルは始状態と終状態の線形結合で表せること、そして始状態から終状態までほぼリニアに変化していることを突き止めた。また、フォトルミネッセンス強度はX線吸収微細構造よりはかなり短時間で変化することも明らかにした。X線吸収微細構造の解析結果とフォトルミネッセンス強度の変化から、Agはペア(2原子の対)と正三角錐(4原子クラスター)の間で変化しているモデルを構築し、2つのペアと正三角錐1個が互いに変化することでフォトルミネッセンス強度が約80%変化することを解明した。これらのことから、Ag形X型ゼオライトにおける発光種はAgペア準安定状態に位置することでゼオライト骨格が発光している可能性が高いことを提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広範囲の波長にわたって励起を行うことにより、これまでとは違う励起波長・蛍光波長の蛍光発光を発見した。これは当初の二つの目的のうち一つを達成したことを意味する。 本年度は、【大気中-(真空排気)-真空中-(大気導入)-大気中】の連続する過程において同時時間分解フォトルミネッセンス&X線吸収微細構造オペランド測定を時間分解能1分で行うことにより、2つのペアと正三角錐1個が互いに変化することでフォトルミネッセンス強度が約80%変化することを解明した。Ag形X型ゼオライトにおける発光種はAgペア準安定状態に位置することでゼオライト骨格が発光している可能性が高いことを提案した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は時間分解能を1分に設定してAg(およびAgイオン)の動きとPL強度変化の対応を解明した。次年度は、これまでの研究で発見した真空排気開始直後に数十ミリ秒単位でPL強度が大きく変化することとAgの動きとの関係を明らかにするためミリ秒分解XAFSに挑戦する。この測定により、Agの移動がPL発現の原因であることを解明することが可能になる。 高エネルギー加速器研究機構における共同利用実験の申請は受理されている。ミリ秒分解XAFSは初めての挑戦となるので、本格的な測定を開始できるよう、来年度は条件出し等の準備期間に充てる。再来年度以降に本格的なミリ秒分解XAFS・PL同時測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
Ag形ゼオライトにおける発光種解明のために、PL測定において明らかにした「排気開始直後における数十ミリ秒間の大きなPL強度変化」の原因をあきらかにするため、ミリ秒分解XAFS測定を予定している。高エネルギー加速器研究機構における課題申請が受理されたため、再来年度からの本格測定の準備を行うため旅費として一部を繰り越した。
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