研究課題/領域番号 |
17K05030
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小島 誠治 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (90134204)
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研究分担者 |
松石 清人 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10202318)
塚田 真也 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (90570531)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リラクサー強誘電体 / ナノサイズ極性領域 / ブリルアン散乱 / 角度分解ラマン散乱 / テラヘルツエリプソメトリー分光 / 強誘電相転移 / 弾性異常 / 臨界緩和 |
研究実績の概要 |
リラクサーの物理的性質の起源は、電荷不均一性と構造欠陥に起因するランダム場により発生する動的及び静的極性ナノサイズ領域(Polar nanoregion, PNR) による空間的なナノサイズの不均一構造と考えられている。令和1年度は、結晶成長時の熱処理で格子欠陥の量を制御できるとともに、結晶成長後の熱処理によりペロフスカイト構造の酸素八面体内部のBサイトのランダム性を制御できるPb(Sc1/2Nb1/2)O3(PSN)単結晶について研究した。(1)格子欠陥の多いPSN、(2)Bサイトが秩序化して占有された格子欠陥の少ないPSN、(3)Bサイトが無秩序に占有された格子欠陥の少ないPSNの3種類の異なるランダム場の結晶について、キュリー温度付近における弾性異常と臨界緩和を調べた。その結果、Bサイトの占有の無秩序性と同程度のリラクサー性を格子欠陥の多いPSNも示すことが明らかになり、論文を投稿した。 また、寛容係数がほぼ1.0である理想的なペロフスカイト構造を持つ量子常誘電体SrTiO3(STO)結晶のAサイトもしくはBサイトを微量の元素で置換してPNRを生じさせた結晶について、その音波物性をブリルアン散乱法により調べ置換効果を考察し、論文を投稿した。これらと併行して、これまでさほど研究が進んでいなかったテラヘルツ帯で反射率の高い強誘電体研究に適したテラヘルツ反射型エリプソメトリーによるテラヘルツダイナミクスの研究も行った。AサイトのSrを同じ価数のCaや異なる価数のLaで置換して結晶について測定を行い、STOの強誘電的不安定性に対応するソフトモードの振動数の変化について調べ、新しい知見を得た。この内容については、令和2年度に解析を進めて論文発表をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
テラヘルツ帯で反射率の高い強誘電体研究に適したテラヘルツ反射型エリプソメトリーによるテラヘルツダイナミクスの研究で、良い研究結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和2年度は、引き続いて構造に乱れにより3次元的分極揺らぎのあるナノサイズ極性領域の存在する非鉛系のペロフスカイト構造酸化物KTN、並びに一次的分極揺らぎのあるタングステンブロンズ構造酸化物の強誘電体CBN, SCBNの相転移におけるダイナミクスをブリルアン散乱、ラマン散乱の温度依存性、外部電場印可効果、メモリー効果などの時間依存性についてこれまで得られた実験結果を整理して取りまとめるとともに普遍性のある物理的解釈を行う。併せて、これまで研究が進んでいなかったテラヘルツ帯で反射率の高い強誘電体研究に適したテラヘルツ反射型エリプソメトリーによるテラヘルツダイナミクスの研究を、微量元素置換した量子常誘電体STOについてさらに進める。また、これらの研究結果の中から価値の高い研究成果は、著名な国際学術誌に発表するとともに当該分野の代表する国際会議でも適宜発表する。また、令和2年度は最終年度であるため、これまでの研究成果を取りまとめて総説論文や単行本を執筆するとともに、リラクサー強誘電体のワークショップを開催できればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会の開催中止のために出張費が残った。残額は、成果発表の論文出版に使用の予定である。
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