研究実績の概要 |
1. 昨年度、CeTiO3の成膜を行ったが、CeTiO4ができてしまい、光誘起近藤効果に必要なCe+3価の状態にはなっていなかった。そこで、CeTiO4を還元してCeTiO3にするために水素ガス還元、CaH2やCaを用いた還元を行ったが、いずれも成功しなかった。 金属有機化合物分解法において、Ce化合物合成時にCeO2を使用するため、どうしてもCeは+4価になりやすい。他の希土類を見た場合、近藤効果はYbでも+3価になれば、観測されている。金属有機化合物分解法では、Yb化合物の場合はYb2O3を使用するため、Ybは+3価になりやすい。 そこで、YbMnO3という既知の物質の合成を行い、EDLTの作製・評価まで行った。成膜には成功した。EDLTを作製し、ゲートのリーク電流を評価したところ、リーク電流は十分に抑制できていた。しかし、電界誘起キャリの観測には成功しなかった。ナノメータスケールでは膜表面の凹凸が大きいと思われ、このことが、電界誘起キャリアを観測できなかった原因だと考えている。昨年度に続き、プラズマ窒化によるキャリアドーピング可能性を調べた。プラズマ窒化の報告のあるTiO2では、誘電体バリア放電による大気圧プラズマ窒化と低圧プラズマ窒化を行ったが,、変化がなかった。プラズマの出力を上げる必要性がある. 2. CeCuAgOとCeTiAgOを合成した。CeCuAgOはCe, CuO, Agを、CeTiAgOはCe, Ag, Ti, TiO2を目的の組成比になるように秤量し、アーク溶解することで作成した。CeCuAgOはCe2O3とCeO2の足し合わせで説明できた。CeTiAgOは主相がβ-TiでCe2O3も含まれていることがわかった。以上のように近藤絶縁体の新物質開発には至らなかった。
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