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2017 年度 実施状況報告書

量子構造を持つ分子ワイヤの単一分子伝導計測

研究課題

研究課題/領域番号 17K05060
研究機関横浜市立大学

研究代表者

横山 崇  横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 教授 (80343862)

研究分担者 田中 彰治  分子科学研究所, 安全衛生管理室, 助教 (20192635)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード分子ダイオード / 走査型トンネル顕微鏡 / ドナー・アクセプター
研究実績の概要

平成29年度は予定通りに、(1) エレクトロスプレー蒸着法の確立、(2) 分子ワイヤ伝導測定、(3) 分子内量子構造を持つ分子ワイヤの精密合成について研究を行なった。(1)のエレクトロスプレー蒸着法の確立では、分子ワイヤが凝集せずに分散して基板表面に吸着するように、スプレーイオン化の最適化や蒸着条件の見直しを細かく行った。エレクトロスプレーの場合、テイラーコーンやプルームの形状が微細なイオン形成の指標となる。これらについて蒸着に適した条件をある程度探ることができた。(2)の分子ワイヤ伝導測定では、ドナー型分子とアクセプター型分子を金属基板上に積層吸着させることで分子ダイオード構造を作成し、その伝導特性を走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて調べた。ドナー型分子としてはヘキサコロネン誘導体(HB-HBC)、アクセプター型分子としてはTCNQやF4-TCNQを用いた。Cu(111)を覆うようにHB-HBC分子を蒸着後、TCNQ分子をその上に蒸着して積層させることで分子ダイオード構造を作成した。TCNQ分子は室温蒸着ではHB-HBC分子上に積層しなかったかが、約200Kの低音で蒸着すると積層構造を形成することが明らかになった。このように銅基板上に分子ダイオード型積層構造を構築し、その上にSTM探針を持って来ることで、その分子ダイオードの伝導特性を計測することができる。実際にSTMを用いることで、I-V曲線が非対称なダイオード特性を計測することができた。(3) 分子内量子構造を持つ分子ワイヤの精密合成については、基板表面上に吸着した状態でも分子内配座を維持するために枠となる外骨格の導入を検討した。巨大分子になると、溶媒に対する可溶性が低くなるので、それを避けるような分子設計を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前述の通り、平成29年度は、(1) エレクトロスプレー蒸着法の確立、(2) 分子ワイヤ伝導測定、(3) 分子内量子構造を持つ分子ワイヤの精密合成について研究を行なった。
論文投稿までには至っていないが、(1)、(2)、(3)共に予定通りであり、概ね順調に進捗していると言える。

今後の研究の推進方策

今後の研究の方策としては、これまで通り、(1) エレクトロスプレー蒸着法の確立、(2) 分子ワイヤ伝導測定、(3) 分子内量子構造を持つ分子ワイヤの精密合成、に分けて研究を実施する。さらに、(3)分子内量子構造を持つ分子ワイヤの精密合成で得られている分子群の伝導特性計測を進める。(1) エレクトロスプレー蒸着法の確立がある程度進捗したので、(3)の分子群を実際に基板上に蒸着し、その吸着構造をSTMで調べると共に、その伝導特性を計測する予定である。

次年度使用額が生じた理由

走査型トンネル顕微鏡装置の改良を予定していたが、実験の実施を優先して改良を次年度に繰り越すことにした。実験の進捗状況を見ながらであるが、今年度実施予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件)

  • [学会発表] Ag(110)表面上におけるセキシフェニル分子の蒸着量に伴う自己組織化配列2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木奈央子, 横山崇
    • 学会等名
      日本物理学会第73回年次大会
  • [学会発表] エレクトロスプレー蒸着したタンパク質の単一分子STM観察2018

    • 著者名/発表者名
      寺崎航平, 横山崇
    • 学会等名
      日本物理学会第73回年次大会
  • [学会発表] ドナー・アクセプター単分子積層によって構築した分子ダイオード構造のSTM/STS観察2017

    • 著者名/発表者名
      津村ゆり子、塚田秀行、横山崇
    • 学会等名
      日本物理学会2017年秋季大会
  • [学会発表] Ag(110)表面上でのセキシフェニル分子の自己組織化配列2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木奈央子, 横山崇
    • 学会等名
      日本物理学会2017年秋季大会
  • [学会発表] エレクトロスプレー法によってAu(111)上に蒸着した生体分子のSTM観察2017

    • 著者名/発表者名
      寺崎航平, 横山崇
    • 学会等名
      日本物理学会2017年秋季大会
  • [学会発表] STM/STS study of a molecular diode formed by donor-acceptor stacking on Cu(111)2017

    • 著者名/発表者名
      Yuriko Tsumura, Hideyuki Tsukada, Takashi Yokoyama
    • 学会等名
      The 8th International Symposium on Surface Science
    • 国際学会
  • [学会発表] Direct identification of various structures of DNA on Au(111) surface by LT-STM2017

    • 著者名/発表者名
      Kouhei Terasaki, Takashi Yokoyama
    • 学会等名
      The 8th International Symposium on Surface Science
    • 国際学会
  • [学会発表] STM/STS study of stacked donor-acceptor molecules formed on Cu(111)2017

    • 著者名/発表者名
      Yuriko Tsumura, Takashi Yokoyama
    • 学会等名
      The 5th Ito International Research Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 第二段階単一分子内集積化のための分子ランナーの開発2017

    • 著者名/発表者名
      田中 彰治
    • 学会等名
      第8回分子アーキテクトニクス研究会
  • [学会発表] STM imaging of various structures of DNA on Au(111) surface2017

    • 著者名/発表者名
      Kouhei Terasaki, Takashi Yokoyama
    • 学会等名
      The 5th Ito International Research Conference

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公開日: 2018-12-17  

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