本研究では、単分子素子における有用な素子機能の出現には、「系の非対称性」が必須と考えた。そこで、まず、Biのナノギャップ電極間に非対称分子を架橋する方針で研究を行った。そして、4個の炭素六員環がY字状に配列した、トリフェニレンの単分子架橋を仮定し、その伝導特性の計算を行った。その結果、この系に関しては、架橋分子の両端で大きく接合状態を変化させても、分子内に非対称な電子状態、特に、HOMO軌道とLUMO軌道を空間的に分離させるほどの影響は出ないことが示された。 次に、「系の非対称性」を実現するために、異種材料で電極を作ることを試みた。そして、その候補として、窒素添加LaB6薄膜を検討した。
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