研究課題/領域番号 |
17K05068
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
廣瀬 和之 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (00280553)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | SiO2 / 表面ポテンシャル / 帯電 / X線光電子分光 / 励起電子 / 電子輸送 / 界面 |
研究実績の概要 |
(1)試料: p型のSi(100)基板上に, ドライ熱酸化によってSiO2膜を成膜した.膜厚は光電子の平均自由工程(十数 nm)より大きく一般には表面帯電が起きると予想される0.5~2.3 μmとした. 試料の裏面に形成された酸化膜を,ドライエッチングで除去した. (2)XPS時間依存測定によるSiO2膜/Si基板の表面電位の評価: 準備した試料にX線(Al Kα: 1486.6 eV)を照射して,SiO2薄膜のSi2pスペクトルのピークエネルギーを時間の関数として測定した (XPS時間依存測定). Si2pスペクトルのピークエネルギーはSi酸化膜トラップ準位が正孔を捕獲(内部帯電)すると正の方向にシフトしていくのでX線照射時間の関数としてSi2pピークエネルギーを測定することで初期の表面ポテンシャル,すなわち表面帯電状態を求めた. (3)SiO2薄膜の表面電位はSiO2膜厚が1μmまでは0Vと一定で,膜厚がさらに増えると最大で1Vまで増加した.Si基板上に形成した膜厚1μmの熱酸化膜を用い,X線の入射角を変化させた時の表面電位の測定では,最大3Vにまで表面電位は増大しており,それより小さいことからも,自己帯電補償が起きていることがわかった. (4)これは,SiO2膜厚を増加させると,表面からの電子放出量がほぼ一定であるのに対して,基板からの電子注入量が減少したためと考えられる.表面からの電子放出量と基板からの電子注入量をモデル化して算出したところ,前者より後者が小さくなると表面電位が上昇(表面帯電)すると整理できることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017第78回応用物理学会秋季学術講演会、2018第65回応用物理学会春季学術講演会にて発表。
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今後の研究の推進方策 |
プラズマCVDSiO2膜で同様の実験を行ったところ,表面電位は熱酸化膜とは異なった.この新たな知見を手がかりに,平成30年度は研究を進める.
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