X 線が照射された際に発生する絶縁体薄膜表面の帯電は, XPS 測定などの分光分析の妨げとなっているが,その条件やメカニズムは十分には解明されていない.本研究では,X線が絶縁体薄膜を支える導体基板に達するものの,X 線照射によって励起された電子の平均自由工程より膜厚が大きい条件で,これまでに知られていなかった新たな表面帯電を緩和する現象が起きることを明らかにした学術的意義がある.さらに,X線照射時の絶縁体薄膜の抵抗値を求めるユニークな手法を考案して,そのメカニズムを考察すしたことに優れた独自性がある.
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