研究課題/領域番号 |
17K05080
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
政田 元太 玉川大学, 工学部, 教授 (80439538)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 2モードスクイーズド光 / 量子エンタングルメント / 量子イルミネーション / 量子レーダー |
研究実績の概要 |
スクイーズド光は量子揺らぎが制御された非古典的な状態の光である。光波の直交する位相振幅成分のうち、一方の量子揺らぎは真空揺らぎよりも圧縮(スクイーズ)され、同時にもう一方の量子揺らぎは増幅(アンチスクイーズ)されている。その結果、光波の位相に依存して量子揺らぎが変化するという特徴を持つ。また2モードスクイーズド光は2つのシングルモードスクイーズド光を合波させることによって生成され、2光波の振幅が強く相関する現象(量子エンタングルメント)を示す。 近年、2モードスクイーズド光を使った新たな応用への期待が世界的に高まりつつある。マサチューセッツ工科大学が開発した量子イルミネーションは量子エンタングルメントを持つ2モードスクイーズド光をレーダー技術に応用するための画期的な理論である。従来のレーダー技術では光損失や光雑音といった擾乱が大きい環境では検知能力が低下してしまい、十分な機能を発揮することが出来ないという問題がある。量子レーダーシステムが完成した場合、擾乱の影響下でもエンタングルメントの効果により高い検知能力が期待できる。 本研究の目的は高出力な2モードスクイーズド光源を開発し、その物理的な性能を評価し、量子レーダーへの応用可能性を探索することである。本年度は連続発振のNd:YAGレーザー(波長946nm)と光パラメトリック発振器2台を用いた量子光学実験の手法により、2つのシングルモードスクイーズド光を生成した。続いて2つの独立なシングルモードスクイーズド光をハーフミラーで合波することにより、2モードスクイーズド光の生成実験を行った。またバランス型ホモダイン測定を用いた手法により、2光波の間の量子エンタングルメント性を検証することに成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験作業がおおむね計画通りに遂行されているため。また予期せぬ問題等が特に発生しなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はスクイーズド光生成のための光学実験装置の安定性能や生成・測定効率を改善することにより、さらに高レベルなスクイーズド光の生成実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は6049円と少額であるため、研究で必要となる消耗品の購入に充てる予定である。
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