本研究の目的は高出力な2モードスクイーズド光源を開発し、その物理的な性能を評価し、量子イルミネーションタイプの量子レーダーへの応用可能性を探索することである。2モードスクイーズド光は2つのシングルモードスクイーズド光を合波させることによって生成され、2光波の振幅が強く相関する現象(量子エンタングルメント)を示す。量子レーダーは2モードスクイーズド光の強い量子相関を利用することにより、光損失や光雑音といった擾乱が大きい環境においてもその検知性能を発揮することが示されている。従って量子レーダーシステムが完成した場合、従来のレーダー技術よりも感度の高い特性が期待される。本研究では2モードスクイーズド光源を開発し、その量子エンタングルメントを検証した。同時に理論的な研究も行い、2モードスクイーズド光のエンタングルした2光波のうち、1光波のみにエネルギー減衰の影響があるときの量子相関についても調べた。 将来的には量子レーダーを自動車に搭載することを目標としており、全天候下における使用を想定している。研究の進展に伴い、様々な状況下に光波が伝搬するときの基礎的な調査が必要となってきた。本研究では視界を妨げる要因の一つとして霧の影響に注目した。レーザー光を10メートル長の人口霧の中を伝搬させ、干渉計を使って光波の特性調査も行った。その結果、均一な霧が光波伝搬へ及ぼす影響はエネルギーの減衰が主であり、光損失としてモデル化できることを見出した。
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