研究課題/領域番号 |
17K05091
|
研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
藤原 幹生 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所量子ICT先端開発センター, 研究マネージャー (70359066)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 量子エレクトロニクス / 量子もつれ光源 / パラメトリックダウンコンバージョン |
研究実績の概要 |
Siリング共振器からの量子もつれ光子対の発生についての研究で,ポンプ光をパルス化した場合の明瞭度の劣化が2017年度に確認された.四光波混合を用いた実験との比較のため,今年度はパラメトリックダウンコンバージョンを用いた通信波長帯の光子対生成を行った.この場合,偏光のもつれを利用している.理論検討及び実験はポンプ強度の低い領域で実施し,多光子対の発生確率を下げることによりBellテストの最適な条件を見つけることを行った.その結果平均光子数0.5付近がCHSH不等式を破るのに最適な領域であることが判った. 今後,四光波混合とパラメトリックダウンコンバージョンにおいての量子もつれ光子対発生に必要なポンプ強度の比較等を進め,量子もつれを生成させる物理現象の違いに対しての量子もつれ生成効率の実質的な比較を行い,シリコンリング共振器の今後の発展性を確認する. 現在,ポンプ光のパルス化に伴う明瞭度の劣化原因が確定できていない.一方この現象はポンププローブ方式の実験と見た場合,Siリング内でどの様な現象が発生しているかを量子もつれの明瞭度で測定していると見なせる可能性がある.time-binもつれに利用する遅延時間依存性を明らかにすることにより,ポンプ―プローブ的測定になっているかを確認する.またポンプ光をCWに戻し,量子回路の光源として利用する場合の問題点と利点を再度検討し,今後のシリコンフォトニクスと量子エレクトロニクスの融合を進める.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Siリング共振器を用いたtime-bin量子もつれ光子対生成について,ポンプ光をパルス化した場合,明瞭度の劣化が確認された.Siリング共振器を用いた量子もつれ光子対発生実験において,世界中の実験においてポンプ光にCW光源を使用しており,この現象は普遍的な現象である可能性が高い.この現象の新たな発見は,今後量子回路を構成するにあたりどの様な材料をどの程度のポンプ強度で用いるべきかの指針に成り得るため,計画以上の知見が得られている.また合わせてパラメトリックダウンコンバージョンを利用した量子もつれ光子対の発生実験もすすめておいり,異なる材料・物理現象での違いを見出すための研究が進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
現在ポンプ光のパルス化に伴う明瞭度の劣化原因が確定できていない.一方この現象はtime-bin もつれを用いたポンププローブ方式の実験とみなし,Siリング内でどの様な現象が発生しているかを量子もつれの明瞭度で測定したと仮定しての新たな実験を実施する.具体的にはtime-binもつれに利用する遅延時間依存性を明らかにすることにより,ポンプ―プローブ的測定になっているかを確認する.またポンプ光をCWに戻し,量子回路の光源として利用する場合の問題点と利点を再度検討し,今後のシリコンフォトニクスと量子エレクトロニクスの融合を進める.
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に購入した制御用ディスクトップPCが予定金額よりも安価に購入できた.残った予算は次年度に経時変化しつつある光学フィルタ等の購入に充当する予定である.
|