研究実績の概要 |
1.反応生成物の直接質量分析:前年度までに構築した直接質量分析システムを用いて,研究代表者らのこれまでの研究において選択的な反応が観測されているエチレン分子を対象とした実験を行った。チタンサファイアレーザー再生増幅器からの出力(中心波長800 nm,パルス幅50 fs,繰り返し周波数1 kHz)を二つに分割し,それぞれ反応レーザー光および質量分析のイオン化レーザー光として用いた。反応レーザー光のレーザー場強度が低い条件においては1,3-ブタジエンが主な生成物として観測された。一方で,レーザー場強度が高い条件においては,より長鎖の炭化水素化合物を含む多様な分子の生成が観測され,レーザー場強度によって生成物が大きく変化することが明らかとなった。 2.生成物のレーザーパラメータ依存性:高繰り返しのレーザー光源を用いてプラズマ反応を誘起させた場合,準安定な反応中間体に連続的にレーザー光が照射されることにより反応が進行することが示唆されている。そこで,レーザー誘起プラズマにおいて気相ヘキサンから水素末端ポリインが生成される過程に関し,生成物の繰り返し周波数依存性を調べた。チタンサファイアレーザー再生増幅器からの出力を焦点距離200 mmのレンズを用いてヘキサン/窒素混合ガスをフローさせたチャンバー内に集光しプラズマを発生させた。レーザー光の周波数はオプティカルチョッパーを用いることで変化させた。異なる繰り返し周波数における単位周波数当たりの生成物を比較したところ,250~1000 Hzの範囲では大きな変化は観測されなかった。
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