研究課題/領域番号 |
17K05099
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
呉 準席 名城大学, 理工学部, 研究員 (90533779)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 真空紫外吸収 / プラズマ処理水 / 化学活性種 / 窒素パージ / その場測定 |
研究実績の概要 |
平成29年度は現有の(真空)紫外吸収分光光度計(島津製作所SolidSpec-3700DUV)の大型資料室内に小型窒素パージ用のチャンバーを構築し(チャンバーの設計や取り付けを含む)、窒素パージ有無で吸光度の差を明らかにし、最適な測定条件を見出す事を目標にした。 ①平成29年度前期は小型窒素パージチャンバーの設計や製作を行った。設計に関しては特に現有の紫外吸収分光光度計の資料室内に取り付けが簡単に出来る事と従来使用している標準石英セルが使用出来るように設計及び製作を行った。窒素パージチャンバーの材料は化学的に安定なテフロンを母材として使用した。②平成29年度後期は製作した小型窒素パージチャンバーを用いて窒素パージ有無で吸光度の差を明らかにした。酸素による紫外吸収の影響が無い条件で標準試薬(過酸化水素、硝酸、亜硝酸など)の吸収スペクトルを複数確認した。結果、吸収ピークが特定できる波長が現実験系では測定可能な波長が175nmまでであることを明らかにした。その理由としては178nm付近から短波長側では強い水の吸収が存在する事があげられる。175nmより短波長側での計測を行う場合は水の吸収を抑える必要があり、例えば光路長を10mmより短くするような実験系の改良が考えられる。 紫外吸収分光の単独の論文で報告は行ってないが、これまでの成果と平成29年度の成果をまとめ、関連結果を3件の査読有り国際共著論文で報告した。他に13件の学会での報告は行いそのうち国際会議での発表が10件、国内会議での発表が3件ある。学会発表の中には招待講演が3件含まれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り窒素パージチャンバーの設計や製作、及び製作したチャンバーを用いて実験を行った。その結果を国際共著論文と国際会議などで発表を行ったためおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は高純度標準試薬を用いた化学活性種の真空紫外吸収スペクトルとプラズマ処理水による真空紫外吸収スペクトルを明らかにする予定である。データの信頼性を高めるために実験を繰返し行う予定である。結果は国際会議や論文で報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に購入予定であった小型プラズマと電源1式(オーク製作所)の購入か遅れた事と旅費と高純度の窒素などの購入を他の予算(私立大学戦略的研究基盤形成事業、S1511021)から支払うことで未使用額が発生した。 平成30年度には購入が遅れた小型プラズマと電源1式の購入を進め、昨年度の実験結果から必要性が明らかになった光路長が短い石英セルの購入と伴い窒素パージチャンバーの改良行う予定である。特に平成30年4月1日から名城大学から大阪市立大学に転入することになり、吸収分光器が置いてある名城大学での実験が予想され、複数回の出張が予想される。それに対しての旅費や滞在費用を支払う予定である。他に液中の成分分析が可能な学内(大阪市立大学理学部内)共通施設(AccuTOF LC, JEOL TOF)を使って真空紫外吸収分光の結果との比較を行う予定である。当初の計画では無かったが、その使用費として支払う予定である。
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