研究課題/領域番号 |
17K05109
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
酒井 卓郎 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, 研究主幹 (70370400)
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研究分担者 |
飯倉 寛 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, 研究副主幹 (30414593)
栗田 圭輔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 博士研究員(任常) (10757925)
河地 有木 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員(定常) (70414521)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オートラジオグラフィ / 植物動態 / 経時観察 / 蛍光板 / トレーサー / β線 |
研究実績の概要 |
中性子ラジオグラフィの測定技術を応用し、 植物体内でのトレーサーRI の移行・集積過程を連続的に撮影する技術開発を行うことが本課題の目的である。 平成29年度においては、植物観察用の暗箱と光学系の設計・製作を行った。暗箱の形状は“L”字型とし、カメラの撮像素子にガンマ線が直接入射するのを防ぐ構造とした。また、内部にミラーやレンズなどの光学部品を設置するため、光学レールを取り付けた。入射β線を可視光に変換する蛍光板に関しては、蛍光体層が0.1mm、0.3mm、0.5mm厚の試験用蛍光板を作製し、点線源のオートラジオグラフィ像を撮影したところ、蛍光体層厚0.3mm、0.5mmで、明るさに差はほとんど無かった。そのため、蛍光体層の厚さを0.4mmとし、視野100mm×100mmの蛍光板の作製を行った。入射面は20μm厚のアルミ膜とし、ZnS(Ag)蛍光体を塗布後、蛍光体表面に輝度向上フィルム2枚を貼り合わせた。この蛍光板と暗箱を組み合わせ、量研機構-高崎量子応用研究所が保有する冷却型CCDカメラを利用して、オートラジオグラフィ撮影実験を行った。その結果、数分程度の露光時間でオートラジオグラフィ像を取得出来ることを確認した。さらに、放射性セシウムを吸収した植物体(凍結状態)の撮影も成功した。 また、より高分解能を有する蛍光板の作製にも着手し、キャピラリプレートの仕様を検討し、大面積のキャピラリプレートを入手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生きた植物体を観察するために必要な機材である暗箱、光学系、蛍光板の設計・製作を行い、これらの機材を組み合わせ、植物体のオートラジオグラフィ像を撮影出来ることまで確認しており、おおむね順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度においては、製作した撮影系の感度特性などの評価を行う予定である。さらに、植物育成環境(温度・湿度、光環境など)を維持しつつ、撮像実験が行える環境の整備を行い、生きた植物体の根に放射性セシウムを含む溶液を投与し、植物体へのセシウム吸収・移行過程を経時的に観察することを目指す。 また、より広い視野(200mm×200mm)を有する蛍光板とキャピラリプレートを利用した高空間分解能の蛍光板の開発を引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張計画に一部変更があったことと、購入予定品の見積り金額に差が生じたため。 次年度使用額分に関しては、蛍光板用の部品購入に充てる予定である。
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