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2018 年度 実施状況報告書

経時的撮影可能なオートラジオグラフィ技術の開発 -セシウム動態可視化を目指して-

研究課題

研究課題/領域番号 17K05109
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

酒井 卓郎  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (70370400)

研究分担者 飯倉 寛  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 技術副主幹 (30414593)
栗田 圭輔  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 博士研究員(任常) (10757925)
河地 有木  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員(定常) (70414521)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードオートラジオグラフィ / 植物 / 放射性セシウム / 蛍光板 / 経時観察 / β線 / トレーサー
研究実績の概要

中性子ラジオグラフィの測定技術を応用し、 植物体内でのトレーサーRI の移行・集積過程を連続的に撮影する技術開発を行うことが本課題の目的である。
平成30年度においては、昨年度に製作を行った植物観察用の暗箱と光学系、蛍光板を用いて、植物イメージング実験を行った。実験は、分担研究者の協力の下、量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所のRI実験施設で行った。観察対象としては、播種後12日目のダイズ地上部に対して、水耕液中にセシウム-137(2M Bq)を投与し、温度25℃、湿度65%、光環境200μmol /m2 /s 24時間明期の環境で、10分ごとの周期でオートラジオグラフィ像の撮影を行った。その結果、投与30分程度でダイズ体内にセシウム-137が移行しているのが観測された。従来は、植物体内へのセシウム移行は遅く、観測には数時間程度でかかると言われていたが、それを覆す結果である。また、撮影は連続4日間行い、成長の早い新芽にセシウムがより多く移行する様が、経時的に観察された。さらに従来オートラジオグラフィ撮影に利用されているイメージングプレートとの比較も行った。その結果、被写体を完全に密着して撮影するイメージングプレートの方が解像度的には優れていたが、感度に関しては同程度であった。本手法は、連続的な経時撮影が可能である点で大きな利点を有しており、セシウム-137の植物体内での動態観察に成功した。本成果は、国内学会2件で発表を行い、いずれも出席者から大きな注目を集めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

植物観察に必要な機材の開発を行い、これらの機材を組み合わせることで、生きた植物体に対するイメージング実験を行い、セシウム-137の植物体内への移行を経時的に観察することに成功した。またその結果は、植物研究者からも注目を浴びており、おおむね順調に進捗していると言える。

今後の研究の推進方策

平成31年度においては、引き続き、製作した機器により植物イメージング実験を行う予定である。また、育成・環境条件の異なる植物個体を同時に撮影できる観察系の設計・製作を行い、植物体へのセシウム吸収・移行過程における重要な因子を見出す研究に着手する。また、植物研究者と連携して、トレーサー実験における本測定技術の有効性を周知する活動もあわせて行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

出張計画に一部変更があったことと、購入予定品の見積り金額に差が生じたため。 次年度使用額分に関しては、光学部品や蛍光板用の部品購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 植物体内の元素動態を可視化する新たなオートラジオグラフィ技術の開発2018

    • 著者名/発表者名
      栗田圭輔、鈴井伸郎、尹永根、石井里美、河地有木、飯倉寛、酒井卓郎
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2018年度神奈川大会
  • [学会発表] 蛍光板によるオートラジオグラフィ技術の開発22018

    • 著者名/発表者名
      酒井卓郎、飯倉寛、栗田圭輔、鈴井伸郎、尹永根、石井里美、河地有木
    • 学会等名
      第79回応用物理学会秋季学術講演会

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公開日: 2019-12-27  

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