研究課題/領域番号 |
17K05111
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
牧野 高紘 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主任研究員(定常) (80549668)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シングルイベント |
研究実績の概要 |
炭化ケイ素(SiC)製-金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)にイオンが入射することで誘起される破壊現象解明のため、SiC-MOSFET内に入射するイオンが誘起する電荷の挙動解明を目的としている。本年は、産業技術総合研究所で開発した内部構造の既知な、SiC製プレーナーゲート型MOSFET、トレンチゲート型MOSFE、それぞれIE-MOSFET (Implantation Epitaxial MOSFET)とIE-UMOSFETを対象とし、シンクロトロンからの重イオンビーム入射に伴う、イオン誘起破壊現象の観測を試みた。これらのMOSFETは、同じSiCエピタキシャル基板を用いており、ブレークダウン電圧や、電圧印加による空乏層の厚さはほぼ同じである。イオンはKr 400 MeV/u、 Xe 290 MeV/uを用いた。イオンがMOSFETに入射することによって、MOSFET内に誘起する電荷の量を測定した。イオン照射中、デバイスは、ゲートを0V(オフ状態)、ソース電圧を0Vとし、チャージアンプを用いることでドレイン側を正にバイアスし、MOSFET内にイオン入射により誘起される電荷を収集した。ソース-ドレイン間バイアスを、400V程度から800Vまで変え、収集電荷量のバイアス依存性を調べることでデバイス破壊過程に関する知見を得た。 同時に、これまでの市販SiC-MOSFETにおける放射線耐性の報告に比べ、最新SiC-MOSFETが優位な放射線耐性を示すことを示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新たな実験結果などが多く取得できているため、シミュレーション等による実験結果の物理的解釈を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーション等による実験結果の物理的解釈を進め、必要に応じて追加実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たに電荷測定装置を設計製作しようとしたが、既存の測定装置に改造を施すことで安価に抑えられることができたため次年度使用額が発生した.これらは、追加実験のために用いる.
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