研究課題/領域番号 |
17K05115
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
星川 晃範 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 産学官連携准教授 (60391257)
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研究分担者 |
松川 健 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 産学官連携助教 (60580876)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高周波の電場印加測定 / 中性子回折実験 |
研究実績の概要 |
本研究では氷およびクラスレートハイドレート等の水素結合状態が、高周波を印加することで水素結合を切りやすくできるのではないかと考え、中性子を用いて水分子およびクラスレートハイドレートの水素原子を高周波外場下において観測し、その水素結合状態を明らかにすることを目的としている。 平成30年度は平成29年度、開発および製作の都合上購入できなかった整合器を購入し、既存の冷凍庫を用いた平板電極による高周波の電場印加測定を実施した。試料としては氷を用いて、外気温としては冷凍庫の温度を-40℃と-20℃と-10℃のそれぞれにおいて、高周波の電場印加測定テストを行った。結果として外部温度に対して、高周波を印加することにより、おおむね2~3℃の一定の温度上昇を確認したものの、効果が小さいことが分かった。そこで出力の電流をあげた計測を行おうとしたが、ソリッドタイプの同軸ケーブル自体の発熱が認められたため、安全上の観点から、出力を抑えたまま動作確認を行った。結果として長時間の動作試験を実施しても、初期の昇温のまま保持されており、高周波による試料の発熱量は、簡易的な冷凍庫の中で十分吸収された状態であった。したがって、電流値を増やして高周波による温度変化が十分得られるようなシステム改良の検討を行った。 一方で、今後の中性子回折実験で用いるための試料ホルダーの製作を実施した。まずは、密封できる平板状の試料ホルダーを製作し、試料として粉末の氷を入れて、冷凍機を用いた性能試験をしたり、低温における安全チェックを実施し、令和元年度の中性子回折実験の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平板状の電極を用いた実際の高周波による電場印加試験で、想定よりも小さな効果しか得られなかった。この際、同軸ケーブルによる高周波の送電方法に問題がある可能性が高く、適切な同軸ケーブルの検討を含む実験システムの改良に時間を要しており、結果として予定よりも遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
高周波の電場印加試験については、引き続き、同軸ケーブルの検討も含め、システム改良を進める。並行して、平板状の試料ホルダーを使った低温の粉末中性子回折の準備をすすめているので、平板試料ホルダーに氷等の粉末試料を入れた際の健全性とどのような回折パターンが得られるのかを確認していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平板状の電極を用いた実際の高周波の電場印加試験で、想定よりも小さな効果しか得られなかったため、何らかの改善が必要となってしまった。それにともない、システム改良の検討時間とその分の改良費用を残す必要があり、結果として次年度に持ち越すことになってしまった。
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