研究課題
本研究課題は、代表者らが世界に先駆けて実用化に成功した白色中性子ホログラフィーをさらに高度化し、半導体など、異種元素ドープが重要な物質において、そのドープ効果を構造の視点から解明することを目的としている。本計画の3年間において、半導体材料BドープSi、熱電材料BドープMg2Si、LED材料BドープSiC、強相関電子系SmドープRB6(R: Yb, La)において、ドーパント周りの局所構造の可視化に成功した。BドープSiではBはSiと置換する事が広く知られているが、実験的証拠はこれまでになく、本計画ではじめて実験的に証明した。その結果は論文に発表した[Ohoyama et al. Phys. Status Solidi B 255 (2018) 1800143.]。また、2019年度の顕著な成果としてMg2Siの研究があげられる。Mg2Siでは、Bを0.75%ドープすることで熱電特性が向上することが知られており、Bの役割が重要となるが、Bの位置が不明であった。原子間位置にはいるとの第1原理計算では予想はあったが、本研究によってBはMgと置換することを直接証明した。この結果は論文に発表した[Hayashi et al. AIP Advances 10, (2020) 035115.]。強相関電子系SmドープRB6(R: Yb, La)において、Smドープが格子に与える影響、とくにSmを囲むBカゴへの影響を直接可視化することに成功し、Smドープが第1近接 Bにのみ歪みを与えることを定量的に示した。この結果は2020年4月に論文投稿を行った。本研究の一連の成果は外部からも注目され、本計画期間中に3回の招待講演、KeyNote講演を行った。また、日本中性子科学、欧州結晶学会国際会議などで、学生の優秀発表賞受賞が4回あり、これも世界的にも評価されていることを示している。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 13件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
AIP Advances
巻: 10 ページ: 035115(1)-(7)
10.1063/1.5143839
http://neutron.appl-beam.ibaraki.ac.jp/