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2017 年度 実施状況報告書

加速器模擬実験用イオントラップによる次世代ビームの共鳴現象に関する実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K05120
研究機関広島大学

研究代表者

伊藤 清一  広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (70335719)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード荷電粒子ビーム / 非中性プラズマ / 非線形共鳴 / 空間電荷効果 / 線形ポールトラップ
研究実績の概要

本課題では「1. 補助電極付線形ポールトラップを製作」し,これを用いて「2. 空間電荷効果が非線形共鳴に及ぼす影響」と「3. 非線形場が線形集団共鳴に及ぼす影響」を系統的に調査することを目的としている.本年度は補助電極付き線形ポールトラップの製作と設置,組み立てを行い,実際にイオンを捕捉してその基礎的な特性を調査し以下の結果を得た.
ア)補助電極の電位を 0 V とした場合に閉じ込め時間は約 10 秒であり,捕捉イオン数は 10 の 7 乗個を達成した.これは当研究室でこれまでに使用していた補助電極のない通常の線形ポールトラップと同程度の性能であり,本研究の遂行に当たって十分な性能である.この結果は補助電極の電位を 0 V にした場合には閉じ込め特性に影響を与えないことを示している.
イ)同じく,補助電極の電位を 0 V とした場合には非線形共鳴による粒子損失がほぼ生じないことを確認した.これは補助電極の設置や,電極の加工・設置誤差によるによる余計な非線形場の発生が十分に小さく抑制できていることを表しいる.本研究を遂行するにあたり,これらの制御できない非線形場をいかに小さくしうるかが一つの課題であった.今回製作したトラップはこの要求を十分に満たしている.
ウ)イオン数が 10 の 5 乗個程度と比較的少なく空間電荷効果が無視できる状況において,補助電極に直流電圧を印加しこれを高くしていくと,四次の非線形共鳴による粒子損失(阻止帯)の量が増加するともに,粒子損失の発生するチューンがシフトすることを確認した.これは当初のもくろみ通り,補助電極への印加電圧により八極場の強さを人為的に制御できたことを表している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定では,H30 年度中に補助電極付きイオントラップの製作・設置を行い,イオントラップの基本特性の測定と,空間電荷効果が無視できる小数個のイオン数で八極場,及び六極場の励起実験を行う予定であった.しかし電源の製作の遅れにより,現在のところ八極場励起実験までしか行っていない.ただし,電源はほぼ完成しているので,H30 年度初頭にはすぐに六極場励起実験を開始する予定である.一方で,本研究での難関の一つと考えていた 10 の 7 乗個台のイオンの捕捉には既に成功している.従って,おおむね順調に進展していると判断する.

今後の研究の推進方策

H30 年度は,まず小数個のイオンを捕捉し六極場励起実験を行う.その後,当初の予定通り「2. 空間電荷効果が非線形共鳴に及ぼす影響の系統的調査」に着手する.
具体的には六,八極場の大きさと捕捉イオン数を様々に変え,それらに対し 三次,四次非線形共鳴の阻止帯の形状とシフト量,成長率がどのように変化するかを測定する.本研究では非線形共鳴で問題になる結合共鳴にも注目する.結合共鳴を明確に観測にするにはは,x,y方向のベータトロンチューンを軸とした平面上に阻止帯を表した, いわゆるチューンダイアグラムを作成するのが有効であるが,その手法も既に確立している.結果の物理的理解を助けるために実験と平行し Particle-In-Cell 法により 空間電荷効果を近似的に導入した軌道追跡計算も行う.
現状で,実験に必要な機材はほぼ全てそろっている.また,技術的な課題もほぼクリアしているので,実験は問題なく実行できると考えている.ただし,小数個イオンでの六極場励起実験が H30 年度にずれ込んだので,全体的に予定が2ヶ月程度ずれこむと予測している.

次年度使用額が生じた理由

必要な物品を適宜購入したが,その際業者との交渉により多少なりとも金額を抑制することができた.そのため,H29 年度には極僅かではあるが次年度使用額が発生した.
次年度使用額は H30 年度予算から見ても極僅かであり,H30 年度の使用計画に影響・変更はない.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 非線形ビームダイナミクス研究用多極イオントラップ2018

    • 著者名/発表者名
      青木将晃,伊藤清一,岡本宏己,檜垣浩之
    • 学会等名
      日本物理学会 第73回年次大会
  • [学会発表] ビーム物理研究用多重極イオントラップの開発2017

    • 著者名/発表者名
      伊藤清一,川村現,岡本宏己
    • 学会等名
      Plasma Conference 2017

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公開日: 2018-12-17  

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