固体希ガスターゲットによるレーザープラズマX線源を発展させたテーブルトップ型の連続繰り返し軟X線(VUV)レーザーを目指して、その可能性を研究した。電子再結合励起X線レーザーにおいては、そのプラズマを急激に冷却して強い再結合状態にして反転分布を作る必要があり、そのためにプラズマを空間的・時間的に制御して冷却する方法を研究した。 時間制御法については、プラズマを急速冷却させるための高速立ち下がりレーザーパルス生成法として誘導ブリリアン散乱法やプラズマシャッタ法を研究した。最終的にはQスイッチレーザーパルス列を用いてアルゴン50nm帯の発光において強度の増加を確認した。 空間制御法であるプラズマを空間的に閉じ込めて強制冷却する方法として、石英ガラスや穴あき銅板によるタンパーを用いた方法を探ってきたが、最終的にターゲット溝構造を採用した。V溝構造の固体アルゴンターゲット層を生成して、その一辺に1μmのNd:YAG Qスイッチレーザーを点集光してプラズマを生成、そのプラズマを対向するもう一辺の固体アルゴン層に衝突させた。この時の発光スペクトル(30-200 nm)を真空紫外分光器でモニターしながらレーザー集光点、レーザー強度、レーザーエネルギー依存性、ターゲット層状態依存性を調査した。その結果、通常の平面ターゲットにおけるスペクトルと比べて形状が変化して強度が増強されたスペクトルが得られた。特にアルゴンの50nm帯の発光においては3倍の強度増強が達成できた。この再結合発光増強効果はクリプトンやキセノン、窒素においても同様に確かめられた。プラズマ長依存性を調べたが、まだ反転分布生成までには至っていない。現状ではレーザー強度不足が原因と考えている。しかしながら、本研究によるプラズマの空間的・時間的制御法が有効であることは実証でき、将来の軟X線(VUV)レーザー化につながる成果である。
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