研究課題/領域番号 |
17K05125
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴木 裕士 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, リーダー (10373242)
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研究分担者 |
兼松 学 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (00312976)
高村 正人 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 上級研究員 (00525595)
甲斐 哲也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (90354737)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中性子イメージング / 鉄筋コンクリート / 変形 / 画像解析 / 有限要素解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、従来の画像解析法と組み合わせたコンクリート内部の非破壊ひずみ計測技術を開発するとともに、鉄筋とコンクリート間の付着滑り挙動を直接観察することにより、これまでに提案されてきた付着すべり挙動モデルを検証することを目的としている。本研究で開発する測定技術は、コンクリートに分散させたマーカを中性子イメージングにより撮影し、その透過像にあるマーカの動きを定量的に評価することで、コンクリートの変形状態を解析するものである。 平成30年度は、得られたマーカ座標を有限要素解析に取り込む技術を開発するとともに、有限要素技術と画像解析技術を組み合わせたひずみ解析技術を開発した。大強度陽子加速器施設J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)のBL22に設置されたエネルギー分析型中性子イメージング装置RADENを用い、引張応力を載荷した鉄筋コンクリートの変形挙動を、開発したひずみ解析技術によって測定した。まず、前年度に開発したマーカ座標抽出技術によって各マーカの重心座標を求めた。次に、得られた重心座標を節点として、Delaunay法によってメッシュに分割し、得られたメッシュをもとに、Green-Lagrangeひずみを用いてひずみ計算を行った。その結果、載荷に伴い発生したひび割れ位置にほぼ一致した位置に引張ひずみの増加を確認した。これは、コンクリートのひび割れの発生と、そのひび割れ幅の拡大が、引張ひずみとして表れたものと考えられる。 以上に示したように、平成30年度の研究を通じて、中性子イメージング技術と有限要素解析技術を組み合わせたひずみ解析技術を用いることで、コンクリート内部のひび割れ位置の同定が可能になることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画していた中性子イメージング技術とFEM解析法を組み合わせたひずみ解析技術の開発に成功するなど、当初の計画通りに成果を得ている。解析精度向上に向けたマーカサイズや分散条件の最適化に若干の遅れが認められるものの、簡単な実験により精度向上の目途は立っており、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、J-PARC MLFのRADENを用いて、マーカサイズや分散条件の最適化により、変形解析精度を向上させる。また、本技術をもって、鉄筋とコンクリート間の付着すべり挙動の直接観察を行い、付着すべりモデルの検証を試みる。なお、RADENのビームタイムについては既に獲得しており、計画通りに実験を行うことができる。得られた成果は積極的に学会発表等に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成30年度に予定していた「マーカサイズや分散条件の最適化」を次年度に変更したことに伴い、それに必要な打ち合わせ旅費を平成31年度に変更したため。 (使用計画)マーカサイズや分散条件の最適化に係る打ち合わせや実験のための旅費、また実験用消耗品購入に充てる。
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備考 |
2018年度日本建築学会大会学術講演会で発表した「中性子ビーム技術を用いた鉄筋コンクリートの変形破壊挙動の評価」が材料施工委員会若手優秀発表賞を受賞
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