研究課題/領域番号 |
17K05126
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
岡安 悟 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (50354824)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スピンゼーベック効果 / 照射効果 |
研究実績の概要 |
照射によるスピンゼーベック電圧の変化を系統的に測定するために、平成29年度にスピンゼーベック効果測定システムを構築し、データ測定を自動で行えるよう整備した。また、平成30年度は測定を行う試料ホルダーを一部改良し、より高感度で安定した測定を可能とした。 高エネルギー重イオン照射については原子力機構のタンデム加速器を利用して、イオン種を変えて計4回照射を行った。イオン種(または電子的阻止能Se)にかかわらず照射量の増加に伴いスピンゼーベック信号が消失することが明らかになった。これは重イオン照射ではイオントラックに沿って、主に高密度電子励起によって磁性層が局所加熱されることで、磁性体が磁化を消失してしまうためであると考えられる。ひとつのイオントラックで磁性層が磁性を失う範囲は直径数ナノメートルであるが、照射量が増えイオントラックが試料表面の全面を覆うようになると、試料全体の磁性が消え磁性層から金属層にスピン流の注入が行えなくなるためスピンゼーベック電圧が消失すると考えている。この結果について現在論文を纏めているところである。 またガンマ線照射については、量研機構高崎研にて照射条件を変え(室温、150℃、150℃+水蒸気)計4回のガンマ線照射を行った。こちらはスピンゼーベック信号に大きな変化は見られないが、唯一、150℃の高温+水蒸気の環境下では特性が劣化するように見える。現在データを詳しく解析中である。こちらもいくつかの追加実験の後に論文化する予定である。 この研究について研究会での発表を平成29年度は2件、平成30年度は1件(それぞれポスター発表)行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スピンゼーベック効果測定システムを構築し、データ測定を自動で行えるよう整備した。 重イオン照射については原子力機構タンデム加速器を利用して、イオン種を変えて計4回照射を行った。またガンマ線照射については量研機構高崎研にて照射条件を変え(室温、150℃、150℃+水蒸気)計4回のガンマ線照射を行った。ただマシンタイムの関係で予定していた対照実験が行えず、平成31年度に持ち越しとなってしまったが、これは挽回可能であると考えている。 測定系の一部改良を行い、従来より測定感度で2倍程度の高感度化、温度安定性では1桁向上させることに成功し、照射による微細な変化を捉えることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は電子線照射実験を行い、スピンゼーベック素子の特性変化を調べる。平成29年度の研究で、特に照射中の水蒸気の存在が問題となりそうなことが分かったので、夏の高湿度環境下と冬の乾燥時の比較を行う予定である。 平成30年度に予定していたガンマ線照射対照実験が完了しなかったため、これを完遂し成果として纏める。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議出張の予定が合わず、やむを得ず取りやめたため。前年度未使用額は平成31年度にアメリカ物理学会出張などに使用する予定。
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