研究課題/領域番号 |
17K05131
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
山本 尚人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (60377918)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビーム物理 / 高周波空洞 / 減衰型空洞 |
研究実績の概要 |
次世代光源リング型光源での活用を目指した高調波空洞について、詳細な空洞パラメータを決定するため、Synchrotron SOLEILで開発された 6次元の電子ビームトラッキングコード"mbtrack"を拡張しこの目的のために使用できるようにした。本コードは蓄積リングでのビーム不安定性を調査するために開発されたコードであり、既存施設で観測された不安定性の解析や次世代光源リングの設計に用いられている。 昨年度は縦方向のみの運動に特化した電子ビームトラッキングコードを開発済みであったが、この拡張によりー般的な6次元空間を運動する電子ビームに対する高調波空洞の影響を調査できるようになった。また、ベンチマークにより既知の高周波空洞に関わるビーム運動をよく再現することが確認できた。本開発の詳細については5月にオーストラリアで開催される国際加速器学会で報告する予定である。電子ビームトラッキングコードによる高調波空洞パラメータの調査は現在、Synchrotron SOLEILの共同研究者らとともに進めている。 また、高調波空洞モデル製作に向け昨年度に引き続き高周波の入力カプラについて設計作業をおこなっている。入力カプラは空洞内に蓄積されるウェーク場の量を調整する機能とこれに不足分があれば外部から導入するために用いられる。入力カプラの追加は高調波空洞の対称性を崩し、場合によっては昨年度までに目処をつけた寄生モードの減衰機構の性能を劣化させる恐れがあるため、慎重に設計作業を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定より少し遅れているが、おおむね順調に設計が進んでいる。状況としてはモデル空洞製作のために詳細なパラメータを詰めている段階である。モデル空洞には申請予算の範囲内とはいえ多額の予算を使用することになるため、昨年度はより慎重に空洞パラメータの決定作業を行った。この結果、昨年度までに行った研究結果を大きく覆すような評価結果は得られておらず、当初の予定に沿った方針で高周波空洞が製作できそうなことが確認できた。 このような理由により、進捗状況としてはおおむね順調だと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、高周波空洞のコールドモデル(モデル空洞)の製作を開始する予定である。モデル空洞が完成した後は設計パラメータが実現できているか調査にうつる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本申請課題で要となる予算使用項目は高周波空洞のコールドモデル製作であるが、追加計算による確認が必要となり空洞設計が終了しなかったため、翌年度に使用することとした。本受入研究費で製作できるモデル空洞は予算的に1つとなるため慎重を期すことにした。
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