これまで生物照射に利用されたことのないクラスターイオンビームの生物効果について、枯草菌の胞子を生物材料のモデルとした評価を実施した。枯草菌の胞子を凍結乾燥と結露処理によってシリコンウェハの小片上にほぼ単層に配置した試料を作製した。試料を真空チャンバー内で照射し、生存率を調査した。2MeV H2+は1MeV H+に対して、入射原子数あたりの致死効果がやや低く、致死効果に関して負のクラスター効果が示唆された。1MeV H+と2MeV H2+を照射した菌株の全ゲノム解析から、誘発される突然変異の特徴に差異がある可能性が示唆された。
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