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2019 年度 実績報告書

実空間グリッド法によるハイブリッドDFT汎関数の開発とその超並列化

研究課題

研究課題/領域番号 17K05138
研究機関東北大学

研究代表者

高橋 英明  東北大学, 理学研究科, 准教授 (10291436)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード超並列計算 / 実空間グリッド法 / 密度汎関数法 / Hartree-Fock交換エネルギー / FFT / CG
研究実績の概要

Kohn-Shamの密度汎関数法(KS-DFT)は、化学や物性物理の理論の分野で必須のツールとなっている。KS-DFTの計算の成否は、電子の交換相関エネルギーを決める近似汎関数の性能に本質的に依存している。この近似汎関数において、Hartree-Fock(HF)の交換エネルギーを部分的に含むようなハイブリッド型の汎関数が理論化学の分野では標準となっている。本研究は、実空間グリッドを基底とするKS-DFTの並列計算を、高い並列度と並列化効率で実現する目的で、HF交換エネルギーの超並列実装を目指すものである。
しかしながら、実空間グリッド法は局所あるいは準局所なポテンシャルの並列化には大きな優位性を持つが、HF交換ポテンシャルのように非局所性が大きな演算子に対しては不利である。この問題を解決する為に、HF交換ポテンシャルの解法を、軌道対の積がつくる静電ポテンシャルに対するPoisson方程式に還元し、これをCG法によって数値的に解く問題に帰着した。結果として、計算に必要とされる演算を準局所なものとすることが可能となった。開発の1年目で実装をほぼ完了し、メニーコアを有するスパコン上で数値計算を実行したが、並列計算において期待した程の速度向上が得られなかった。原因は、隣り合うノード間のローカルな通信に予想外の時間がかかっていることにあった。
ここで方針を転換し、上記のPoisson方程式をCG法では無く、FFT法によって解くことにした。このFFT計算には、Pippigらが開発した3次元分割による超並列版FFTを用いた。FFT法と上記のCG法を比較すると、様々な系においてFFT法が有利であることが示された。FFTの並列計算においては集団通信が支配的になるが、これが高速に実行できることが主要な原因であることが明らかになった。結果はアメリカ化学会の学術誌に論文として投稿された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Large-Scale Parallel Implementation of Hartree?Fock Exchange Energy on Real-Space Grids Using 3D-Parallel Fast Fourier Transform2020

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Hideaki、Sakuraba Shun、Morita Akihiro
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Information and Modeling

      巻: 60 ページ: 1376~1389

    • DOI

      10.1021/acs.jcim.9b01063

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Role of the Photosystem II as an Environment in the Oxidation Free Energy of the Mn Cluster from S1 to S22019

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Hideaki、Suzuoka Daiki、Sakuraba Shun、Morita Akihiro
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry B

      巻: 123 ページ: 7081~7091

    • DOI

      10.1021/acs.jpcb.9b03831

    • 査読あり
  • [学会発表] QM/MM-ER法によるPSIIマンガンクラスター の光酸化の自由エネルギー解析2019

    • 著者名/発表者名
      高橋英明,鈴岡大樹 森田明弘
    • 学会等名
      分子科学討論会
  • [学会発表] 大規模QM/MM法によるPSIIマンガン クラスターの光酸化の自由エネルギー解析2019

    • 著者名/発表者名
      高橋英明,鈴岡大樹, 森田明弘
    • 学会等名
      日本コンピュータ化学会
  • [学会発表] QM/MM法と溶液論による 生体内化学過程の自由エネルギー解析2019

    • 著者名/発表者名
      高橋英明
    • 学会等名
      東北大学薬学研究科研究室セミナー

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公開日: 2021-01-27  

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