研究課題/領域番号 |
17K05148
|
研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
佐々木 大輔 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (60507903)
|
研究分担者 |
岡本 正人 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70462124)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 直交格子法 / 流体解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,流体解析と組み合わせた効率的なロバスト設計手法を構築することを目的として研究を進めている.その内容は,解析精度の高い直交格子法に基づく流体解析手法に対しレベルセット法を適用することで,飛行中の形状変化に伴う局所変形のばらつきを表現する手法の構築を目指している.これにより,流体解析の回数を抑えた効率的なロバスト最適設計手法の構築が期待できる.本研究では,人力飛行機の主翼を対象としてロバスト最適設計の実証を目指していることから,レベルセット法による局所変形の再現を組み込んだ直交格子流体解析手法の構築と検証を進めている.本手法では,直交格子法に基づく流体解析手法の解析精度・信頼性の向上が不可欠であることから,主に低レイノルズ数流れを対象とした検証解析を実施した.単純な低アスペクト比矩形翼においては,実験で確認できる揚力係数の非線形性を同様に確認することができ,高迎角においても失速をしない理由が,翼端渦が剥離を抑制するためであることを解析により明らかにした.その一方,現在使用している解析点数(数千万点)では境界層を解像するには十分ではなく,また解析時間が非常に長いことが問題となっている.本手法に組み込むレベルセット法に関しては,現在構築の途中であり,検証には至っていない.また,比較対象用の実験模型を製作し,今後の検証に必要となる空力データの取得を行うと共に3次元計測により局所変形データの取得も行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本手法では,直交格子法を用いた流体解析を実施するため,その解析手法の十分な検証が必要となる.そのために,低レイノルズ数流れを対象として,単純な低アスペクト比矩形翼を用いた検証計算を進めている.これまで,実験で確認できる揚力係数の非線形性を直交格子法により確認することができた.また,高迎角においても失速をしない理由を明らかにすることができたことから,直交格子法の有効性は示せた.その一方,現在使用している解析点数(数千万点)では境界層を解像するには十分ではなく,摩擦抵抗の推算や高迎角時の解析精度に関しては更なる計算手法の改良・検証が必要となる,それに加えて,解析時間が非常に長いことが問題となっていることから,当初予定より前倒しで解析に必要な計算機を導入し,解析速度を速めることにしている.
|
今後の研究の推進方策 |
現在,レベルセット法による局所変形の再現を組み込んだ直交格子流体解析手法の構築と検証を進めている.そのためには,必要となる直交格子法の検証が不可欠であるが,解析時間の長さもあって,まだ検証の途中である.それを早く終わらせてレベルセット法を組み込んだ検証をするために,平成31年度に購入予定であった前処理用計算機を平成30年度に前倒し購入をすることで,計画通りに研究実施をすることを図る. また,3次元計測により実際に得られた局所変形データを解析し,実際に生じる局所変形の効率的な表現方法について検討する.大域的・局所的な曲面表現法を適用して翼の上下面における局所変形を再現し,再現性・自由度について検証する.実測に基づく局所変形に対して,統計的処理や主成分分析を実施して主要な局所変形を明らかにすることで,効率的なロバスト設計手法の構築を図る.ここで,ロバスト性の評価に使用する指標が十分な精度を有していれば,それに基づいたロバスト最適設計法の構築を完了とみなす.3次元流体解析に時間がかかることから,解析回数を減らした効率的な最適化法の構築を平成30年度中に図る.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では,初年度に購入するワークステーションを利用して平成30年度の解析に必要となる前処理計算を実施する予定であったが,現在の解析時間から判断すると前処理に必要となる解析時間が長くなってしまい,計画の円滑な実施が難しくなる可能性がある.そこで,平成31年度に購入予定であった前処理用計算機を平成30年度に前倒し購入をすることで,計画通りに研究実施をすることを図る.それに伴い,予算額の変更は生じるが,当初の予定に従って予算を使用する計画である.
|