研究実績の概要 |
本研究の目的は、逆軌道体構成法を用いて、中心電荷24の正則頂点作用素代数の一意性、すなわち、共形重さ1のリー代数構造による特徴付け、を証明することである。
今までの研究成果から、中心電荷24の正則頂点作用素代数の一意性の証明はムーンシャイン頂点作用素代数の場合を除いて完成していたが、個別に一意性を証明する手法であった。したがって、より深い理解のために、統一的な証明が求められていた。 今年度は van Ekeren, Lam, Moller と共同で一意性の統一的な別証明を与えた。既にリーチ格子頂点作用素代数から、リーチ格子の自己同型と軌道体構成法を用いて、すべての中心電荷24の正則頂点作用素代数が先行研究によって構成されていた。そこで、中心電荷24の正則頂点作用素代数から内部自己同型と軌道体構成法を使ってリーチ格子頂点作用素代数を構成できることを証明すれば、逆軌道体構成法を用いて、一意性の証明が得られることに気がついた。実際に、共形重さ1空間のリー代数の次元に関する公式と Kac's very strange formula を用いることで証明することに成功した。さらに Schellekens のリストの証明の簡略化にも取り組み、部分的に成功している。これら成果が中心電荷24の正則頂点作用素代数のより深い理解に繋がると期待される。これら成果は論文「Schellekens’ list and the very strange formula」にまとめられ、国際数学専門誌 Advances in Mathematics から出版されている。
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