研究課題/領域番号 |
17K05159
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
秋山 茂樹 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60212445)
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研究分担者 |
湯浅 久利 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (50363346)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自己誘導構造 / Pisot 数 / 置換規則 / タイリング / 一様分布 |
研究実績の概要 |
タイル張りのコロナとはそのタイルと隣接関係にあるタイル集合の合併である。再帰的に累積コロナを作成し適切に大きさをコロナをとる回数で正規化することで得られる極限がコロナ極限である。今井克暢、J.Caalim、金子元との共同研究でコロナ極限の存在に関する数学的な条件を与え、特に周期的タイル張りでは点対称な凸多面体にハウスドルフ距離の意味で収束する事を示した。非周期的でも切断射影集合で得られるタイル張りでは、同じ結果が期待される。ペンロースタイリング等ではこのことは直接の証明が得られている。一般的に扱うための手がかりはまだ得られていない。 Sarnak は数論におけるメビウス関数の値と、零エントロピーの力学系の生成する数列との間の平均的な無相関性を予想した。この予想は数論と力学系にまたがり多くの研究者が関心をもっている。Y.Jiang との共同でメビウス直交性に関するSarnak 予想に関連して強い意味で一様分布する列を構成した。これは古典的な一様分布論の応用になった。 金子元、D.H.Kim との共同研究で数論の正規性の問題を力学系の観点から考え、ある区間力学系で生成的な点が、作用を取り換えても生成的になるかという問題を考えた。区分線形で傾きの絶対値が Pisot 数の冪だけからなるような系において、生成的であることが保たれる例を非常に多数構成することに成功した。この系は、非可算無限のマルコフ性を持たない一般の区分線型系を含む。 上記の研究は数論と力学系の境界領域に属し、置換規則などと強く関係することが知られており、さらなる発展が見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究はコロナ極限、Sarnak 予想、生成点同値などの置換規則力学系の隣接分野に様々な方向に広がり成果を出せた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染の広がりのため、後半に成果発表と研究打ち合わせの機会を失った。パンデミックの終結も見込める状況であるが遠隔会議、対面会議などを活用して研究の発展を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスのため国際会議がすべて中止または延期となり成果発表の機会の多くが失われたため資金を繰り越し差ざるを得なくなった。今年度、ワクチン接種も進み延期されていた集会も行われる予定のものがいくつか出てきている。この機会に本研究の成果発表を行う。
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