幅広く代数的組合せ論について研究を行った。0、1からなる2元体を考える。2元体上のn次元ベクトル空間の部分空間を長さnの符号と呼ぶことにする。そこには自然な内積がはいっている。その内積に関して、双対符号を考えることができる。双対符号が元の符号と一致する時には、その符号を自己双対符号と呼ぶことにする。2元体上のn次元ベクトルのゼロでない座標の個数をそのベクトルの重さと呼ぶ。符号のどの元の重さも4の倍数であるときに、その符号を重偶であるという。我々は自己双対かつ重偶符号に興味を持つ。自己双対かつ重偶符号の重み多項式はある有限群の不変式となっており、その変数にテータ関数を代入することにより、モジュラー形式が得られることが知られている。我々はアイゼンスタイン級数の類似として、特別な不変式に注目し、E-多項式と呼ぶことにした。そのE-多項式が生成する環の構造を調べた。不変式環の部分環より小さくなるのだが、低い重さの所を除くと一致するという知見を得た。また、特別な符号dn+型に注目し、それらが生成する重み多項式環の部分環が有限生成であることを示し、種数が低い場合にその生成元を決定した。有限群の中心化環に注目し、我々が取り扱う有限な行列群に対して、各次数のベクトル空間の次元を決定した。また、符号理論、置換群、マトロイド理論との関連を考察し、重み多項式と各分野に現れる多項式との関係を明示的に表した。小関道夫のヤコビ多項式の理論を一般種数の場合に拡張した。Iwan Duursmaの理論に現れる符号理論のゼータ多項式について、E-多項式との関連から研究を行った。
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