研究課題/領域番号 |
17K05168
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
山岸 正和 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40270996)
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研究分担者 |
水澤 靖 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60453817)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | チェビシェフ多項式 / 線形符号 / 重み多項式 |
研究実績の概要 |
本研究では研究代表者がこれまで行なってきたチェビシェフ多項式の数論的研究の二つの方向への拡張・一般化を目指す。一つ目の対象は楕円関数・楕円曲線・ 形式群などに由来する各種等分多項式であり、二つ目の対象はゲーゲンバウエル多項式・ヤコビ多項式を始めとする各種古典的直交多項式である。主としてチェ ビシェフ多項式との類似の観点から、これらの多項式を題材として未知の数論的性質を明らかにし、また数論的応用を試みる。 本年度は符号理論への応用に関する二つの結果を得た。一つはパスグラフのデカルト積のラプラシアンから定まる二元線形符号に関する結果である(早田裕貴氏との共同研究)。頂点数が奇数の場合には最小距離が1であることを示した。また頂点数が偶数の場合には最小距離に関する予想を定式化した。ラプラシアンの全単射性の考察においてチェビシェフ多項式が効果的な役割を果たした。この結果は学術雑誌に発表した。 もう一つは形式的重み多項式(formal weight enumerator)への応用である。自己双対重偶符号の重み多項式と似た性質を持つ一般の(係数が非負整数と限らない)二変数斉次多項式を形式的重み多項式という。形式的重み多項式は小関道夫氏により初めて導入され保型形式への応用が知られている。また近年知念宏司氏により符号のゼータ関数の観点から組織的に研究されている。研究代表者は知念氏の結果にヒントを得、チェビシェフ多項式との深い関係を明らかにした。この結果は現在論文にまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画時には思いもよらなかったことであるが、グラフ理論・符号理論の問題への応用に関し結果を得ることができ、また論文発表、論文執筆につながった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に考察が進んでいたものの本年度は考察の進まなかった二つの研究、すなわちヤコビ楕円関数の等分多項式の終結式に関する補充公式(山縣幸司氏との共同研究)と形式群由来の等分多項式に関する研究、の完成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に生じた次年度使用額をほぼ引き継いでしまった。次年度は研究打ち合わせ・成果発表のために比較的遠方への国内旅行に充当する。
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