研究実績の概要 |
本研究では、研究代表者がこれまで行なってきたチェビシェフ多項式の数論的研究の二つの方向への拡張・一般化を目指す。一つ目の対象は楕円関数・楕円曲線・形式群などに由来する各種等分多項式であり、二つ目の対象はゲーベンバウエル多項式・ヤコビ多項式を始めとする各種古典的直交多項式である。主としてチェビシェフ多項式との類似の観点から、これらの多項式を題材として未知の数論的性質を明らかにし、また数論的応用を試みる。 研究代表者の本年度の実績は次の通りである。(1)昨年度得られた、チェビシェフ多項式の形式的重み多項式(formal weight enumerator)への応用に関する結果を学術雑誌に発表した。(2)事業期間を延長したことにより、上記結果の精密化が得られた。具体的には、知念氏の発見した3系列の formal weight enumerator のゼータ多項式の計算に成功し、またゼータ多項式の零点の位置について十分な情報が得られた。特にリーマン予想類似の成立に対する簡明な判定法を与えた。以上の結果の定式化や証明に際しては、第1,2,3,4種のチェビシェフ多項式を対等に扱うという本研究の姿勢が非常に役立った。結果を論文にまとめ、学術雑誌に投稿した。(3)学会発表(オンライン)を2件行った。 研究協力者の本年度の実績は次の通りである。チェビシェフ多項式と関連の深いJoukowski写像の反復から得られる代数体の2進Lie拡大に対し岩澤理論的考察を行い、成果を学術雑誌に発表した。
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