研究課題/領域番号 |
17K05169
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
雪江 明彦 京都大学, 理学研究科, 教授 (20312548)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 概均質ベクトル空間 / 有理軌道 / 密度定理 |
研究実績の概要 |
以前アクセプトされていた,例外ジョルダン代数の対の空間の有理軌道に関する論文がJ. Number Theory から出版された。これは過去に指導した院生である加藤遼との共同研究である。昨年度の新たな結果として,次の結果を得た。固定された3次体をkとし,2次体Fを動かすとき,kとFの合成体L の hR (類数と単数基準の積)と F の hR の商の密度を決定した。これは L/F の相対 hR の密度のことである。この結果はJ. Number Theory と Manuscripta にアクセプトされ,オンラインでは既に出版されている。また,次元6のprimitive trivector の空間の有理軌道の解釈を決定した論文が Tohoku J. から出版された。一方,田嶋和明との共同研究により,比較的大きい概均質ベクトル空間の悪い点の集合のGIT stratification というのもを決定した。それには計算機による激しい計算を要したが,第1部と第2部はプレプリントが完成し雑誌に投稿した。第3部と第4部も近く完成予定である。第1部では計算機による計算を解説した。第2部では 3次行列の対の空間と6次交代行列の対の空間について基礎体が完全体という仮定のもとに GIT stratification を完全に決定した。5次交代行列4個の組の空間と8次の trivector の空間についても結果がある。これらは第3部と第4部でまとめられる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間中にまだ印刷されていないものも含めて,論文が5本アクセプトされた。また申請した研究内容の1つについてもプレプリントが2本完成し投稿できたた。申請したがまだ研究していないこともあるが,それは2019年度中に始めることができると思われる。結果が出ているので,順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き GIT stratification のプレプリントを完成させて投稿に持って行くとともに,申請した研究である概均質ベクトル空間における連分数の意味についての研究を始める。また,申請通り研究集会をいくつか開催する。また数論合同セミナーにも数名外部から講演者を招いて,数論関係の最近の情報を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度,7万円ほど残ったが,最終年度ではなく,2019年度の予算が幾分少なめなので,2019年度に繰り越すことにした。2019年度も6月に保型形式関連の研究集会を主催し,また,7月に広島で若手の数論関係の研究集会を主催する。そのために旅費を支出することになる。また,数論合同セミナーで数名講演者を外部から招待して講演してもらう予定である。2年前に購入したノートPCが既に消耗しているので,余裕があれば新たに購入する可能性がある。2019年度も引き続き,GIT Stratification の論文を仙台高専の田嶋和明との共同で完成させ投稿する。田嶋和明とは研究打ち合わせで雪江が仙台に行くか田嶋が京都に来るかなどする必要がある。なおこの研究でパソコンによるかなり激しい計算を行った。科研費を申請するときの計画の一部である,概均質ベクトル空間を連分数の観点から研究するというプロジェクトを行う。その他にも,暗号との関係があるかどうか考えることも視野に入れている。
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