研究実績の概要 |
本研究の目的は、有理数体上定義された一般線形群等について、その算術商の基本領域の境界における0次元セルを決定するアルゴリズムを開発することである。平成29年度の研究により、一般線形群の算術的最小関数から定まる最小点集合の計算アルゴリズムを見出すことができたので、平成30年度の研究では、当初の計画どおり低次元の場合にリシュコフ領域の境界面の定義イデアルの計算に取り組んだ。4次の対称行列の空間において、2-パーフェクトであることがわかっている正定値対称行列が5個ある。その各々に対し, 先のアルゴリズムによりその最小点集合が完全に決定できる。境界面の計算の方針は、5個の中からふたつを取り出し、それらの最小点集合の共通部分を求め,この共通部分を最小点集合に含むような正定値対称行列全体を与える定義方程式を求めるというものである。具体的には、10変数4次式の連立方程式系の解空間の決定になる。当年度はこの計算を行ったが、最終的な決定には至らなった。 研究成果の公開について、大学院生のリー君が, ブラウン大学の ICERM(The Institute for Computational and Experimental Research in Mathematics) で平成30年4月23日 - 27日に開催された研究集会 Point Configurations in Geometry, Physics and Computer Science に参加し、代数体上の一般線形群の新しい簡約理論についてポスター発表を行った。
|