研究実績の概要 |
これまでに、モジュラー群の合同部分群で与えられる非コンパクト数論的リーマン面に関する length spectrum とその重複度については、それらが不定値2元2次形式の単数と類数を用いて記述されることが知られている(Sarnak, 1981, 研究代表者, 2007 etc)。さらに、重複度の類数を用いた記述を利用することで、重複度の任意のべき和に関する漸近公式が得られている(Bogomolny-Leyvraz-Schmit, 1997, Peter, 2002, Lukianov, 2007, 研究代表者, 2013)。平成29年度はこれらを非コンパクトで数論的なリーマン面の中で、「合同な」ものに拡張した。 非コンパクトで数論的なリーマン面を与える基本群は、実はモジュラー群と commensurable なものしかなく、さらに、それらの中で極大なものはモジュラー群の合同部分群のひとつを指数2の正規部分群として含むことが知られている。平成29年度の研究として取り扱った、「合同な」リーマン面とは、このような極大な非余コンパクトな数論的群の「合同」部分群で与えられるリーマン面のことであり、モジュラー群の合同部分群との類似性から、length spectrum とその重複度が、同様に不定値2元2次形式の単数と類数を用いて記述できることがわかった。加えて、重複度の任意のべき和についても、既存の研究で得られたものと同様の漸近公式を得ることができた。 本研究成果については、すでに研究集会で報告済みであり、近い将来、国際学術誌に投稿する予定である。
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