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2020 年度 実施状況報告書

多重ゼータ関数の総合的研究と量子可積分系への応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K05185
研究機関立教大学

研究代表者

小森 靖  立教大学, 理学部, 教授 (80343200)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード多重ゼータ関数 / ルート系
研究実績の概要

2020年度は, 昨年度に引き続きこれまでに行ったルート系やリー群に付随する多重ゼータ値や関数に関する膨大な研究成果について本として出版する計画が進行しており, それに沿って原稿を書き進めた. (松本耕二氏 (名古屋大), 津村博文氏 (都立大) との共同研究)
また, 当初の計画にはなかったことであるが, 有限多重ゼータ値と対称多重ゼータ値において現在最も重要な研究目標とされている金子-Zagier 予想に関して進展が得られた. これは多重ゼータ値を定義する級数を有限で打ち切って有限体上の数列とみなす有限多重ゼータ値と通常の多重ゼータ値のある種の対称化である対称多重ゼータ値の間には一対一対応があるという予想である. この予想を確かめる為, 元々の多重ゼータ値の間で成り立つ関係式を基に様々な関係式が構成され, 両者の間で同じ形の関係式が成り立つことが確かめられてきた. しかし, 片方でしか確認できていない関係式もいくつか存在しており, 予想確認のために示す努力がなされてきた. このような関係式の一つである青木・大野関係式について, これまで示されていなかった対称多重ゼータ値版を, 多重ゼータスター値の合同式を示すことによって得ることに成功した. この関係式を用いれば, これまで知られていた他の2種類の関係式にも新しい証明が与えられる. この結果により, 金子・Zagier 予想はさらに支持されるものとなり, また手法としても有限対称多重ポリログとも呼べる対象を導入したことにより, 新たな研究の方向性を示したと考えられる. (藤田賢斗氏(立教大)との共同研究)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン講義準備やコロナ対策会議等の業務に追われ, また多くの研究会が中止になったため研究が少し停滞してしまった.

今後の研究の推進方策

今年度得た有限多重ゼータ値と対称多重ゼータ値についての研究成果を基に, この応用や拡張について考えていく予定である. また荒川金子多重ゼータ関数の拡張に関して, 多重 T 値という新しい研究に進展がみられたため, この方向についても研究を深めていく予定である.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響で出張が全て中止になったため次年度使用額が生じた. 次年度に研究会などが再開された際に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] An overview and supplements to the theory of functional relations for zeta-functions of root systems2020

    • 著者名/発表者名
      Komori Yasushi、Matsumoto Kohji、Tsumura Hirofumi
    • 雑誌名

      Advanced Studies in Pure Mathematics

      巻: 84 ページ: 263-295

    • DOI

      10.2969/aspm/08410263

    • 査読あり
  • [学会発表] On variants of the Arakawa-Kaneko zeta function2021

    • 著者名/発表者名
      小森 靖
    • 学会等名
      第3回 青葉山ゼータ研究集会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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