研究課題/領域番号 |
17K05187
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
澁川 陽一 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90241299)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 反射方程式 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,Faddeev-Reshetikhin-Takhtajan構成法から生じる2種類の代数(双亜代数および面代数)に対し,少し広い意味での森田同値性を明らかにすることである.研究代表者らが構成した双亜代数のダイナミカル表現全体のなすテンソル圏と,対応する面代数の表現全体のなるテンソル圏の間の圏同値を得ることを研究目的とする. 昨年度と同様,当該年度も新型コロナウイルス感染症対応のため研究打ち合わせを行うことが困難な状況が続いたり,他の業務量が増大したりしたため,交付申請書に記載した研究実施計画に沿った研究を十分に行えなかった.このため,本年度は,研究課題で扱う双亜代数のダイナミカル表現が属するテンソル圏(これをテンソル圏Tとする)に関する知見を豊富にするべく,ダイナミカル・ヤン・バクスター写像に付随して定まる反射方程式の解であるダイナミカル・リフレクション写像の構成に関する研究を実施した.一般のテンソル圏で反射方程式の解を構成するための十分条件を発見すること,さらには,この十分条件を前出のテンソル圏Tに適用してダイナミカル・リフレクション写像を得るための条件などを探った.現時点で完全な結果は得られていないが,一般のテンソル圏での特殊なモノイド(ringと呼ばれることもある)の利用が鍵になっているとわかってきた. この研究は,ダイナミカル・リフレクション写像を利用して新しい代数を構成するという新たな研究の足がかりになるものである.また,これを用いて可換な写像の族を構成することができるので,いわゆる可積分系を作り上げることにも繋がると考えている. また,前年までに実施して得られた研究成果について,学会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書に記載した平成29年度,31年度(令和元年度)の研究実施計画はおおむね達成されているが,平成30年度,32年度(令和2年度)の研究実施計画が達成されていない.
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載の研究実施計画におおむね沿って今後の研究を推進する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要に記したように,新型コロナウイルス感染症対応のため研究打ち合わせを行うことが困難な状況が続いたり,他の業務量が増大したりしたため,本研究課題を計画通りに遂行することができず,次年度使用額が生じた.研究期間のさらなる延長により,未達の研究計画を遂行する際に使用する予定である.
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