研究課題/領域番号 |
17K05189
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
増岡 彰 筑波大学, 数理物質系, 教授 (50229366)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スーパー代数群 / スーパー・リー群 / ホップ代数 / スーパー・リー代数 / スーパー・スキーム / スーパー解析多様体 |
研究実績の概要 |
代数群の概念を、スーパー・シンメトリーのコンテクストにおいて一般化することで、標数が2と異なる体上のスーパー代数群 G が定義される。それは、通常の代数群とは大きく異なる性質 (例えば線形簡約なものがごく限られている)を持つ一方、秩序と調和を繊細に保った、極めて興味深い研究対象である。 J. Brundan (2006) は、(1) G のスーパー閉部分群 H に対し、商たるスーパー・スキーム G/H が存在し、かついくつかの望ましい性質を持つことを仮定した上で、G の表現に関する諸結果を導いた。(2) 特別な G=Q(n) とその放物型スーパー閉部分群 H=P に対して、仮定した Q(n)/P が存在することを示し、Q(n) の表現に関する重要な結果を鮮やかに示した。現在までの研究成果として証明できたのは、いかなる G とH に対しても、スーパー・スキーム G/H が存在し、それが Brundan が望んだすべての性質に加え、アフィン性に関する際立った性質を持つことである。この結果がもたらす重要な進展として、Brundan の表現に関する諸結果を、いまやあらゆる G に対して適用できるようになった。 証明の鍵となった、G の構造層の記述は真に新しい。その証明にホップ代数のテクニックを用いる。はるかに古くから研究されてきたスーパー・リー群に対し類似を追うことにより、商射 G→G/H がスーパー主H-束であることを、従来より精密に、しかも一般の完備体上証明した。このような解析的状況において、ホップ代数の純代数的テクニックが応用できたことは驚きであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初研究目的としていた、(1)完備体上のスーパー Lie 群の基礎理論の確立、(2)スーパー多様体 X のスーパー群 G の作用による商 X/G の研究、について期待していた通りの研究成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得た研究成果を、スーパー代数群の表現論、微分方程式のガロア理論、スーパー代数幾何学・微分幾何学に応用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費補助により2019年3月に筑波大学にて国際研究集会を主催した。招聘を予定していた外国人研究者の1人が参加できなくなったため、この方のための旅費・滞在費等が余った。2019年8月に名古屋大学にて開かれる第8回日中韓環論シンポジウムのための費用(一部負担)等に充てる予定。
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