研究課題/領域番号 |
17K05197
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
野間 淳 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (90262401)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 射影多様体 / 斉次イデアル / 定義方程式 / 射影埋め込み / m正規性 / カステルヌーボーマンフォード正則数 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,代数多様体の射影空間への埋め込みの構造を,定義方程式やそのイデアル,シジジーなどの代数的対象と線形射影や超曲面の作る線形束などの幾何的対象との関係に注目して調べることである.引き続き,射影多様体Xが次数d,次元n,余次元eのとき,「Xを含む次数(d-e+1)以下のすべての超曲面の共通部分はXと一致する」「(d-e)次以上のすべての超曲面が作る線形束はX上で完備である」という予想を示すことを目指し研究を行った. 点からの線形射影がXとその像との双有理写像を引き起こさないとき,射影の中心点を非双有理中心点またはセグレ点と呼び,その点がXの外にあるとき外セグレ点,またその全体を外セグレローカスと呼びB(X)と表す.同様に,Xの非特異点のとき,内セグレ点,その全体を内セグレローカスと呼びC(X)と表す. 今年度は,外と内のセグレローカスの既約成分の数の上限を与えた前年度までの結果の再検討と改良に重点をおいて研究した.セグレ点からの線形射影の写像度を指数と呼び,この数を考慮に入れ,昨年度に得られていた結果を改良した.射影曲線に対する外と内のセグレ点の数の上限を,線形射影の2重点因子の次数,曲線の次数と余次元,算術種数,そしてセグレ点の指数を使って与えた.更に,射影多様体Xに対して,外と内のセグレローカスの既約成分の個数の和の上限を,Xを含みセグレローカスに沿って特異点をもつ超曲面を構成することによって,Xの次数と次元,余次元,セグレローカスの指数で与えた. これらの上限が実際の場合に最適な条件であるかどうかの検証と更なる改良の検討は現在進行中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に向けて,幾つかの成果が得られていること,さらに実例の検討を行いこれまでの成果と比較と再点検することにより,新たな知見や新たな展開が期待できそうであるため.
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今後の研究の推進方策 |
得られた結果を実例と比較することにより再検討し改良する.これを使いやすい定理や命題にまとめて論文として発表する.また,口頭発表を行って,研究者との情報交換や意見交換により幅広い視点からの研究の展開を目指す.具体的な研究内容としては,引き続き,いろいろな例で外と内のセグレローカスを求めること,2重点因子を求めることなどを,計算機代数プログラムで実行し,具体例を集めて観察し,予想される結果を更に探る.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究集会の開催を,感染症の予防のため,先送りした.また,今年度に予定していた計算機の導入が進捗状況によりおくれているため.これらの予定を次年度に実行するため,研究費を利用していく.
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