研究実績の概要 |
今年度は対数的小平次元が1以下の開代数曲面とピカール数1の正規デルペッゾ曲面の構造について研究を遂行し, 次のような成果を得た。 (1) 9月に西ミシガン大学(アメリカ)に滞在し, 同大学のGene Freudenburg氏と私の元大学院生である長峰孝典氏と, 座標環が単元群が自明になるUFDとなる非特異アフィン代数曲面について共同研究を行い, そのような曲面で対数的小平次元がゼロになるものを無限個構成した. これまで, そのような曲面は二つしか無いということがR.V. Gurjar氏と宮西氏により示されていたが, その結果が間違っていることが分かり更に, その二つの例が同型であることも分かった。この結果については, ArXivにプレプリントを発表しており, 現在そのような曲面を完全に分類することを試みている。 (2) 昨年度までの研究で得られた, 対数的小平次元がゼロで不足数が1以下となる開代数曲面の分類結果を用いて, 非特異射影有理曲面とその上の連結曲線の対で, 曲線の補集合の対数的小平次元と不足数が1以下となるものに対する双有理的な構造定理を得た. これは, 基礎体の標数がゼロの場合はW. Veys氏の結果(Math. Ann. 1999)を含んでいる。この結果については現在論文にまとめているところである。 (3) ピカール数1で高々有理的対数的標準特異点を持つ正規デルペッゾ曲面について, その特異点の個数が3以上になる場合の部分的な分類を行った。具体的には, そのような曲面の直線で3個以上の特異点を通るものが存在し, 対数的端末特異点でない特異点を持つ場合を分類した。
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