研究実績の概要 |
片側原田環の研究は、実質的には1979年頃から盛んに行われ、研究代表者と大城紀代市山口大学名誉教授との共著のレクチャー・ノート"Classical artiniann rings and related topics", World Scientific Publishing (2009) にその成果が収められている。原田環は、中山環やQF環といった古典的アルチン環の一般化であり、QF-3環より強い条件をもっている。このため、中山環やQF環が、原田環の視点から再考察されるという重要性をあわせ持っている。しかし、片側原田環のめざましい研究成果に比べ、両側原田環の研究は、その複雑さのため、長らく手つかずのままであり、本研究により、その特徴づけが開始されたところである。 これまでに、両側原田環の構造を表現するため、新たな概念である co-H-sequence, weak co-H-sequence を導入し、片側原田環を再定義して、それらを用いて両側原田環の研究を続けてきた。それして、与えられた直既約基本的QF環を用いて両側原田環を構成する方法を見つけ出し、これが一般の両側原田環についても適用できるか、つまり、一般の両側原田環からある直既約基本的QF環を導き出し、これを用いた両側原田環の構成法で元の両側原田環が再現できるのか、という研究を行った。その結果、中山環ではない、一般の両側原田環に対して肯定的であることが解明できた。 得られたや中山環ではない両側原田環の一般的な表現法は、今後、両側原田環の研究を進める上での重要な「道具」になり、さらに様々な問題を生み出し、その解決を手助けするものと予想される。
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