研究課題/領域番号 |
17K05203
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
橋本 光靖 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10208465)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 標準加群 / Serre の条件 / Purity |
研究実績の概要 |
標準加群の振る舞いについて研究をした。とくに、ネータースキームの間の有限型の射が平坦で (S_n) 条件をみたすファイバーを持つような軌跡が開集合になるための十分条件を調べ、n=2 の場合に双対化複体を持てば良いという結果を得た。この結果を用いて quasi-Gorenstein 射の研究を進めることが期待できる。Quasi-Gorenstein 射の定義はいく通りか候補があるが、平坦で canonical module の引き戻しが canonical module になるという定義でものごとがうまくいくと期待される。 また、Zariski-Nagata による Purity of branch locus に関する有名な定理について、体を含むexcellent scheme などの追加的な条件の下で、新たな別証明を得た。すなわち、f: X -> Y がネータースキームの間の quasi-finite な射で、Y が regular, X が normal であれば、f の branch locus は空か、または各既約成分の codimension が 1 以下である、という主張について、k が体、Y が k スキームでエクセレントの場合に別証明を得た。 新しい証明では、Y が体上のべき級数環 A の素スペクトラムの場合に帰着し、A の微分作用素環の作用を考える。X= Spec B はアフィンだとしてよく、すると微分作用素の環は B に作用する。すると Kaehler 微分の加群 Ω_{B/A} の annihilator は微分作用素環 D の作用するイデアルとなり、全体か 0 になるが、0 ではないことが示され、Ω_{B/A}=0 となるという流れの証明であり、既存の証明とは異なるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標準加群に関する研究が予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平坦かつファイバーが (S_n) 条件をみたすような軌跡が開集合であるような状況で、quasi-Gorenstein な準同型を考えることができると思うので、そのことを調べる。 それが済めば、n標準加群について、その振る舞いを調べることが必要になってくる。 また, ASL の中で特別な形の straightening relation を持つものは有理特異点を持つであろうと予想されるので、そのことについても検討を始める。
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次年度使用額が生じた理由 |
いくつかの国内出張がキャンセルになったから。来年度には岡山で可換環論シンポジウムがあり、また今年度、来年度は岡山大の大学院生と共同研究をすることになり、順調に消化が見込まれるので、問題ないと考えたからである。
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