研究課題/領域番号 |
17K05204
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高橋 宣能 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (60301298)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 代数多様体 / カンドル / Lie-Yamaguti代数 / 対数的幾何学 |
研究実績の概要 |
1. カンドル多様体のうち、正則 s 多様体と呼ばれるものの上の「正則」な加群と無限小 s 多様体(ある種の自己同型付き Lie-Yamaguti 代数)のある種の表現の間の対応について研究を継続しているが、今年度はこれに関する論文を完成し、発表した。この論文の中では、連結かつ推移的なカンドル多様体の間の準同型が与えられたとき、それぞれに推移的に作用する Lie 群として適切なものを取ることによって Lie 群の準同型を用いて表せることや、無限小 s 多様体の表現と無限小 s 多様体の圏における abel 群対象との対応などの基本的な事実を証明した。論文は出版予定である。 2. 上記の対応を用いることによって、カンドル加群の実例に関する計算を行なった。具体的には、SL(2, C) 内の一般の共役類 Q をカンドルと見るとき、対応する無限小 s 多様体の表現を経由することによって Q 上の一階のカンドル加群の分類を行った。特に、Q に付随する群の表現から直接に誘導される形でないようなカンドル加群の例が与えられた。また、二階の場合についてもいくらかの計算を行なった。 3. 「対数幾何学との関連」については、退化した A1 曲線の対数的 BPS 不変量への寄与を具体的に計算する、などの問題に関する研究を海外の研究者たちとともに今年度も行っており、対数的状況でのある種の層のモジュライ空間や対数的安定写像の記述などについて、いくつかの具体例を与えるなどの研究を行なった。この結果に関する論文は現在改訂中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移動の制限などにより、結果の発表が十分でなかった。一方で、正則 s 多様体上の加群と無限小 s 多様体の表現の対応に関する論文は、十分に整理した形で完成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインでの方法を含め、研究連絡や成果の発表を行い、これまでの成果の他分野への応用を探る。 また、対数的 BPS 不変量に関する結果を拡充し、関連する研究との調査も行って完成させる。特に、トロピカル幾何学との関係について考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の流行により、研究集会等が開催中止またはオンラインでの開催となり、旅費の支出が無くなったため。オンラインでの研究連絡や研究推進のための資料・機材の購入に使用する予定である。
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