研究実績の概要 |
2018年度は,論文[1] Elliptic surfaces and contact conics for a 3-nodal quartic, Hokkaido Math. J., 47 (2018), 223-244 を出版した(Khulan Tumenbayarと共著).昨年に引き続き低次の曲線配置のトポロジーについて様々な視点から研究を行った.具体的には,1.非特異平面3次曲線と直線およびnodalな既約3次曲線と直線,2.非特異平面4次曲線とその2重接線,3.平面6次曲線の(2, 3, 6) quasi-torus分解について研究をおこなった.1, 2については,昨年からつづいている2次被覆の数論という視点からの研究である.以下各項目について少し詳しく述べる. 1については,3次曲線と4本の接線からなる直線配置の埋め込み位相について有理楕円曲面の幾何学を利用して研究し,ザリスキ対の例を与えた.この例では,変曲点における接線を含まない点が従来の例とことなっている.この研究は2017年度から続いているもので, 博士後期課程の学生および坂内真三との共同研究である.その成果2018年にHokkaido Math. Jに受理されている. 2については,2重接線が3本の場合にはZariski対の例を,2重接線が4本の場合は,Zariski 3つ組の例をあ与えている.構成においては,有理楕円曲面の幾何をもちいるとともに,白根竹人によって定式化された連結数を利用している点が従来に比較して新しい.この研究は博士後期課程の学生および坂内真三との共同研究であり,Hiroshima Math. Jにより受理されている. 3については,超楕円曲線の因子のMumford表現を用いて次数0の因子群の演算を書き下すものであり,現在進行中の研究である.
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