研究実績の概要 |
本年度も,楕円曲線および楕円曲面(函数体上の楕円曲線)を用いたZariski pairについて研究した.鍵となるのは,楕円曲線の有理点のなす可換群の性質を巧妙に用いるものである. 2020年度は,2本の論文 Rational points of elliptic surfaces and the topology of cubic-line, cubic-conic-line arrangements (坂内真三, 山本桃果と共著), Elliptic surfaces of rank one and the topology of cubic-line arrangements (坂内真三と共著)を出版した.また,課題に関連した論文2本を投稿中で,そのうちの一本は掲載が決まっている.これらの論文はE. Artal Bartolo, 坂内真三,白根竹人との共著である. 楕円曲面(Elliptic surface)がタイトルに現れている論文は共に,楕円曲面を函数体上の楕円曲線とみなし,楕円曲線の有理点に関連して得られる平面曲線を用いてZariski pairを構成した.Zariski pairの判定では,Mordell-Weil群の性質が鍵となっている.なお,坂内真三と共著の後者の論文では,楕円曲面の多重切断を扱っている点が従来のものと大きく異なる. 現在投稿中の論文では,非特異平面曲線の因子類群のねじれ元を与えるような曲線との組み合わせに関するZariski pairの構成法を扱っている.非特異3次曲線の場合に具体的な例をあげるだけでなく,モデュラー曲線を扱ってパラメータ空間を扱っている点が特色である.
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