【トロピカル幾何の基礎】トロピカル幾何で使える概型理論に関して,前年度までにわかっていた付点モノイドを基礎とすると値の点により多様体と射が作れることを踏まえて引き続き研究した.首都大学東京や東北大学で行った講義をもとに,まとまった文献がない付点モノイドによる原稿を書き進めた.9月17日から10月19日までマンハイム大学に滞在し,研究発表と議論を行うことで理解を深めた. 【トロピカル幾何の発展】8月2日から20日までリオデジャネイロで国際数学者会議およびその衛星会議である研究集会「トロピカル幾何学とモジュライ」に参加した.また12月21日と22日に首都大学東京で「第二回トロピカル幾何ワークショップ」を共催した.これらでトロピカル幾何に関する最新の情報を収集し,研究者との情報交換に大いに努めた. 【トロピカル幾何の応用】工程計画問題への応用について,最短完了時間のニュートン多面体から元のネットワークの情報を引き出す研究を継続した.6月6日から7月末までソルボンヌ工科大学からフランス人実習生1名を受け入れ計算機を用いた計算を行った.その際ポスドクを1名雇用した.上記のリオの研究集会には共同研究者1名も同行し議論と情報収集を行った.9月4日に日本応用数理学会(名古屋大学)で招待講演を行った.2月4日から3月8日までシドニー大学に出張して研究発表を行い特異点に関するいくつかの問題について議論した. 【その他】代数幾何学の最新の知識を得るため,7月28日から8月1日まで東京大学玉原国際セミナーハウスで研究集会「代数幾何学サマースクール2018」(テーマ:特異点の正規化体積とα不変量)を共催した.その際情報収集補助のため大学院生1名を同行させた.また10月6日から8日まで高知工科大学で行われた研究集会「射影代数多様体の幾何とその周辺」がドイツ出張と重なったため情報収集を依頼した.
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